こんにちは!
妊娠中&産後専門フィットネストレーナーのYUMIです。
妊娠中に最も鍛えてほしいところ…
それはお尻です!!
妊娠中にお尻を鍛えることには、妊婦さんにとって嬉しいメリットがたくさんあります。
この記事では、妊娠中の尻トレの重要性や妊婦さんにおすすめのお尻の筋トレなど、妊娠中&産後専門トレーナーとしての観点から、そして実際に妊娠を経験したママとしてお伝えできることを、ご紹介していきます。
妊娠中におしりの筋トレをするメリット
1.骨盤の安定と腰痛の予防
妊娠中におしりの筋トレをする理由の一つが、骨盤の安定です。
アメリカ産婦人科学会(ACOG)の「妊娠中の運動ガイドライン」によると、妊娠中の運動は腰痛の予防につながると明記されています[1]。
妊娠が進むと、お腹が前に出てきて、写真のような骨盤前傾になりがちです。
骨盤前傾の状態が長く続くと、背中の筋肉(脊柱起立筋)を使いすぎてしまい、腰痛の原因になります。
このため、背中の筋肉の反対側の筋肉、つまりお腹の筋肉を鍛えてあげることが腰痛の軽減につながります。
それと同時に、お尻の筋肉は、お腹の筋肉と連携して骨盤を安定させる筋肉です。このためお尻を鍛えてあげることで、間接的に腰痛の改善に役立つというわけです。
2.その他の痛みの予防
妊娠中にはリラキシンという骨盤まわりが緩みやすくなるホルモンの分泌が増えることで知られています[2]。
お産に向けての準備のために分泌が増えるリラキシンですが、これが原因で脚の付け根や尾てい骨の痛みにつながることがあるのです。
ですが前述のとおり、お尻の筋肉を鍛えておくことで、骨盤の位置を安定させることができ、痛みの軽減が期待できます。
また、お尻の筋肉を動かすことで、股関節を動かすことにもなりますので、このあたりの血の巡りが良くなることで、痛みの軽減につながる可能性があります。
3.垂れ尻の予防
妊娠中は体重が増えていくので、お尻に脂肪がついていくのが気になりますよね。
妊娠中に筋トレをする主な目的は、健やかな妊娠生活と赤ちゃんの健康のため。ヒップアップやボディメイクは、二の次ですが、副次的にお尻が上がってきたら、それはそれで嬉しいですよね。
私が今まで指導した妊婦さんの中でも、「妊娠中なのになんだかお尻が上がってきました」「旦那さんにお尻が上がったと言われて嬉しい!」などのお声をいただきました。
ですので、妊娠前からお尻を鍛えてこなかったという人は特に、妊娠を期に筋トレを習慣化したらお尻が上がってきた!なんてことも。
腰痛などの痛みを予防できて、ヒップアップもできたら、一石二鳥ですよね!
妊娠中はどんなおしりの筋トレをすれば良い?妊婦さんにオススメの尻トレ紹介!
ここで、妊娠中におすすめのおしりの筋トレをご紹介します。
やり方は基本的には非妊娠時と変わらないのですが、気をつけなければならないのが「呼吸」です。
筋トレ中に息を止めてしまうと、血圧が上がり、リスクとなります。
また、踏ん張ってしまうことで、お腹に入れた圧が下に逃げ、骨盤底筋群に負担がかかることがあります。また、息を止めることで血圧が上がる可能性があるため、妊娠中にはリスクとなります。
妊娠中に筋トレを行う際は、呼吸を止めないように気をつけましょう。
妊娠中はただでさえ骨盤底筋群に負荷がかかっている状態ですので、間違った方法でおこなうと、尿漏れなどの症状に加担することがあります。
▼骨盤底筋群について詳しくは
これからご紹介する動画では、呼吸の取り方も解説していますので、一緒におこなって練習してみてくださいね。
以下が、妊娠中にも安全におこなっていただけるお尻の筋トレです。
スクワット
妊娠中の筋トレとして定番のスクワットも、お尻や脚の筋肉を鍛えられます。
方法:
①足を骨盤より少し広めに開きます。
②つま先とヒザは少し外向きで、同じ方向を向けます。
③椅子に座るかのように、上半身をナナメ前に傾けながら、ヒザを曲げ伸ばしします。
お腹が大きくなって腿に当たるようであれば、脚をさらに広げてワイドで行います。
回数:
10~15回×3セット
※歌を歌いながらでも余裕でできる強度で行いましょう。慣れている方は、ウェイトを持って行っても大丈夫です。
▼動画で見る
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ランジ
ランジはお尻や脚に効く筋トレです。スプリットスクワットとも呼ばれています。
方法:
①足を前後に開き、後ろ足はつま先立ちになります。
②ヒザを曲げ伸ばしします。
③反対側も行います。
バランスが安定しない場合は、椅子の背もたれなどにつかまって行いましょう。
回数:
10~15回×3セット
※歌を歌いながらでも余裕でできる強度で行いましょう。慣れている方は、ウェイトを持って行っても大丈夫です。
▼動画で見る
サイドランジ
サイドランジはお尻や脚に効く筋トレです。上半身を倒すことで、腿裏(ハムストリングス)に効かせられます。
方法:
①両足を広く開きます。
②つま先とヒザは正面を向けます。
③片側に重心を移し、上半身をナナメ前に傾けながら、ヒザを曲げ伸ばしします。
④反対側も行い、左右交互に行います。
バランスが安定しない場合は、椅子の背もたれなどにつかまって行いましょう。
回数:
左右5~10回ずつ×3セット
※歌を歌いながらでも余裕でできる強度で行いましょう。慣れている方は、ウェイトを持って行っても大丈夫です。
▼動画で見る
クラムシェル

この時の私、お腹出して外にそのまま寝転んじゃってますが…皆さんはお腹冷やさないようにしてくださいね!!笑
横になったままお尻が鍛えられる筋トレです。骨盤にくっついているお尻の筋肉(梨状筋)を鍛えられます。産後のリハビリエクササイズとしてもおすすめです。
方法:
①ヒザを曲げて横になります。
②かかとがお尻の穴から一直線になるように足の位置を調整します。
③手を腰(骨盤のでっぱり)に当て、上のヒザを開く・閉じるを繰り返します。
④反対側も行います。
骨盤のでっぱりが後ろに倒れていかないように気をつけましょう。
回数:
左右10~20回ずつ×3セット
※歌を歌いながらでも余裕でできる強度で行いましょう。慣れている方は、ヒザ上にミニバンドをつけて行っても大丈夫です。
▼動画で見る
ヒップアブダクション
中臀筋というおしりの上の方にある筋肉に効く筋トレです。
方法:
①片足に重心を移し、ひざを少し曲げます。もう片足は浮かせます。
②浮かせた脚のヒザは正面、つま先は下を向けます。
③足を開く・閉じるを繰り返します。
④反対側も行います。
脚を高く上げる必要はありません。ヒザが横を向いていると、お尻ではなく前腿に効いてしまうので要注意。お尻の上の方の筋肉に手を当てながら、動いているかどうかを確認しましょう。
回数:
左右10~20回ずつ×3セット
※歌を歌いながらでも余裕でできる強度で行いましょう。慣れている方は、ヒザ上にミニバンドをつけて行っても大丈夫です。
妊娠中はどれくらいの頻度でお尻の筋トレをすればよい?
週に2~3回がおすすめです。
毎日ではなく1~2日、日をおいておこなうようにしましょう。
日をおかずに毎日おこなってしまうと、筋トレでダメージを受けた筋肉が治癒しないまま、またダメージを受けてしまい、筋肉が育ちにくくなってしまいます。また、筋肉痛が長引くと、疲労感の原因に。
妊娠中の運動の目的は、すこやかな妊娠生活と、赤ちゃんの健康のためのもの。ヒップアップはあくまでもうれしい「副作用」です。
歩くのもつらいような筋肉痛が来る様であれば、鍛えすぎの可能性があります。
元々の筋力レベルに合わせて、徐々に回数とセット数を増やしていくことをおすすめします。
妊娠中にお尻を鍛えるときの注意点とは?
お尻の筋トレに関わらず、妊娠中の運動で以下のような症状が現れたら「運動中止のサイン」です[1]。担当の医師に相談するようにしましょう。
- 経腟出血
- 腹痛
- 規則的に起こる痛みのある陣痛
- 破水
- 息切れ
- めまい
- 頭痛
- 胸の痛み
- バランスを保つのに影響するほどの筋無力症
- ふくらはぎの痛みまたは腫れ
その他妊娠中の運動の注意点については、以下の記事を参考にしてみてください。
妊娠中のお尻の筋トレについてよくある質問
こちらのコーナーでは、妊娠中のお尻の筋トレについてよくいただくご質問と、関連する記事をご紹介していきますね。
仰向けで筋トレはダメですか?
グルーツブリッジなどの仰向けで行う筋トレのバリエーションは、運動を許可されている妊娠初期・中期の妊婦さんなら問題なく行うことができます。
ただし、妊娠後期に入と胎児の重さが大静脈を圧迫するため、苦しくなったり呼吸がとりづらくなってくることがあります。
しかし、これは全ての妊婦さんに当てはまることではなく、大動脈を圧迫するかどうかは胎児のポジションによっても異なってきます。妊娠後期になっても仰向けの姿勢で眠れる、逆に横向きが辛い、という妊婦さんもいらっしゃいます。
リスク回避のためにも、妊娠後期に入ったら仰向けの筋トレは1セットを30~60秒にとどめ、休憩時に姿勢を変えるようにしてみましょう。また、少しでも症状が起こったら速やかに運動を中止できるように、自分の身体の声によく耳を傾けつつ、進めるようにしてみてください。
うつ伏せでの筋トレはしてもいいですか?
うつ伏せで行うヒップエクステンションなどの筋トレは、妊娠前から行っていて運動を許可されている方は、妊娠初期にはそのまま続けることができる可能性があります。子宮の全長が骨盤より大きくなってくるのは、妊娠14週前後と言われており、それまでは赤ちゃんは「骨盤のケージに守られている」と言えるからです。
ただし、妊娠14週以降は、うつ伏せのトレーニングは控えるようにしていきましょう。
また、赤ちゃんを圧迫してしまうのではないかという強い不安感がある場合は、妊娠初期であってもうつ伏せのトレーニングはお休みすると良いでしょう。他にも同じ筋肉を効率よく鍛える方法はあります。
妊娠超初期や妊娠初期の筋トレはダメですか?
妊娠初期でも、医師に運動を許可されている妊婦さんであれば、筋トレを続けることができます。米国産婦人科学会の出す「妊娠中の運動ガイドライン」によると、妊娠中の運動は「してもよい」ではなく「したほうがよい」とされており[1]、妊娠初期に運動をすることで妊娠糖尿病にかかるリスクが低くなるという研究もあります[3]。
検診にて胎児の心拍数が確認できる前の「妊娠超初期」の段階での運動については、判断が難しいところですが、以下の投稿にまとめてありますので、参考までに読んでみてくださいね。
妊娠中の運動では、心拍数を測った方がいいですか?
医師から特別な指示がない限り、妊娠中の運動で心拍数を測る必要はありません。以前は、妊娠中の心拍数を140拍/分以下に保つよう推奨されていましたが、これは1985年に限られたデータに基づいて導入されたものです。現在では科学的根拠が不十分であることや、個人差が大きいことから撤廃されています[1]。
現在、米国産婦人科学会(ACOG)は、運動中に会話ができるかどうかを目安にする「トークテスト」や、「ややきつい」と感じる程度を目安にする「ボルグ主観的運動強度スケール」の活用を推奨しています[1]。
自分で測れる目安としては、「運動しながら会話はできるけれど、歌うのは難しい」レベルが、妊娠中の運動強度の上限として適切とされています。
ウェイトを使って鍛えてもいいの?
妊娠前からウェイトを使ったトレーニングをしており、現在運動を許可されている妊婦さんであれば、妊娠中もウェイトを使ったトレーニングを続けることができる可能性があります。
ただし、お腹や骨盤に直接ウェイトを載せるトレーニング(グルーツブリッジやヒップスラスト)は、控えた方が無難でしょう。レジスタンスバンドを使うなど、別の安全な負荷の欠け方を試してみてください。
妊娠中のウェイトトレーニングについて詳しくは以下にまとめてあります。
妊娠中にお尻の筋トレは良いとのことですが、腹筋はどうですか?
お尻の筋トレと同様、お腹の筋トレも腰痛の予防につながりますので、妊娠中のトレーニングメニューとして推奨されています。
ただし、妊娠中に適さない種目もありますので、注意が必要です。
詳しくは以下にまとめてありますので、参考までに読んでみてくださいね。
妊娠中に筋トレを続けた妊婦さんの声
今まで数多くの妊婦さんに筋トレを指導させていただきましたが、コツコツと鍛えていた方は特に、出産も産後も違いを実感されているようです。
筋トレを続けられた妊婦さんの声をいくつかご紹介しますね。
出産は思った以上に体力勝負で、筋トレをしていて本当に良かったと思います。YUMIさんに習った呼吸法がとても役に立ちました!いきみ逃しが上手いと褒められたのは、間違いなくこの呼吸法のおかげです。妊娠初期からBSMに参加して本当に良かったです。
無痛分娩で分娩時は感覚がないくらい麻酔が効いていましたが、筋トレのおかげで渾身の力でいきむことができましたよ!
筋トレしていたおかげか、なんとか最後までいきみ続けることができました…!
お産がなかなかの体力勝負だったので、妊娠中しっかり動いておいて、ほんとによかったなーと思いました!!
妊娠中から約1年、YUMIさんの筋トレ続けています。BSMは続けやすいプログラムなので、筋トレが生活の一部になりました。現在産後7ヶ月ですが、目立った産後太りもなく、筋トレもできるパワフルな健康体です。上半身が強くなり、抱っこも楽々になりました。
まとめ
妊娠中にコツコツお尻の筋トレをしていくことで、骨盤を安定させたり、腰痛や妊娠中に起こりがちな骨盤まわりの痛みの軽減が期待できます。
さらに、妊娠中なのにヒップアップといった嬉しい「副作用」も。
自分の体の声を聴きつつ、この記事でご紹介した筋トレを取り入れてみてくださいね!
赤ちゃんもママの運動でゆらゆらされて、きっと楽しんでくれるはず。赤ちゃんはゆらゆらされるのが大好きですからね!
その他にも妊娠中の筋トレのコツを知りたい!という方には、無料で配布している『妊婦さんの筋トレガイド』をダウンロードしてみてください。
妊娠中に行ってもいい筋トレ・行ってはいけない筋トレや、妊娠経過に合わせたトレーニングの調整方法などを分かりやすくまとめています。
今日から動ける妊娠中の運動メニューが欲しい!運動について相談もしたい!という方は、The Best Shapeマタニティ&リペアがおすすめ。妊娠中から産後3ヵ月まで活用できるエクササイズプログラムです。
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<参考文献>
1. アメリカ産婦人科学会(ACOG)の「妊娠中の運動ガイドライン」
2. Roger L Hammer, 他. Exercise During the Childbearing Year
3. Samantha F. Ehrlich, et al. (2020) Exercise During the First Trimester of Pregnancy and the Risks of Abnormal Screening and Gestational Diabetes Mellitus
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