こんにちは!
妊娠中&産後専門フィットネストレーナーのYUMIです。
今回は「妊娠中の腹筋」についてお話したいと思います。
妊娠でお腹が出てくると、腹筋は鍛えない方が良いイメージがあるかもしれません。
妊娠中のトレーニングについて教育を受けていないトレーナーさんだと、
「妊娠中の腹筋は腹圧がかかると赤ちゃんに良くないから…」と、腫れ物に触るかのように避けてしまいがちです。
ですが、妊娠中・産後のトレーニングについて教育を受けているトレーナーとして言わせていただくと、妊娠中はむしろ腹筋を鍛えた方が良いです!
しかし、どの腹筋のトレーニングでも良いというわけではなく、正しいテクニックで妊娠中に合った腹筋の鍛え方をする必要があります。
詳しく説明していきます。
妊娠中は腹筋運動をしていいの?注意点と妊婦さんにおすすめの体幹筋トレ!
妊娠中の腹筋運動には主に2つのメリットがあります。
1.腰痛の予防
2.いきみ時の助けになる
です。
1.腰痛の予防
腹筋が弱まると、逆に背中の筋肉が圧力を受けることになり、筋肉がいつも使われている上体になってしまいます。
結果、背中の筋肉がガチガチに固まり、腰痛につながりやすくなります。
医師や助産婦も参考にする妊娠中・産後の運動ガイドラインである「ACOGガイドライン」にもこのように書いてあります。
“More than 60% of pregnant women experience low back pain. Strengthening of abdominal and back muscles could reduce this risk.”
『妊娠中の女性の60%以上が腰痛を経験する。腹部および背部の筋肉を強化することで、このリスクを軽減することができる可能性がある。』
―American College of Obstetritian and Gynacologist(アメリカ産婦人科学会)
▼関連記事:ACOGガイドラインに基づく妊娠中の運動の注意点
https://yumiid.com/pregnancy-exercise-guideline/
2.いきみ時の助けになる
強い腹筋は赤ちゃんを押し出すときにも大切です。
特にインナーマッスルである腹横筋を鍛えておくことで、子宮口が開いてから赤ちゃんをプッシュしやすくなります。
妊娠中には、腹横筋をアイソレートする(他の筋肉から独立して動かす)練習をしておくと良いです。
個人的な例ですが、私も妊娠前から妊娠期を通して体幹を鍛えていたので、子宮口が開いてから赤ちゃんが出てくるまで30分もかかりませんでした。
妊娠中の腹筋トレーニングの注意点
以下のような症状のある時は決して、トレーニングをおこなわないようにしましょう。トレーニング中にこのような症状が生じた場合も、すみやかに医師に相談するようにしましょう。
・お腹の張り
・お腹の痛み
・破水
・めまい
・頭痛
・胸の痛み
また、医師に運動自体を止められている方は、おこなわないようにしましょうね。
妊娠中に腹筋トレーニングをする目的は、妊娠生活をすこやかに送るためであり、出産に向けて準備するためです。
非妊娠時のように、バリバリ鍛えるものではありません。
ましてや、くびれを作ることが目的になるものではないので、プッシュしすぎないように気を付けましょう。
どんな腹筋運動をしたらいいの?
問題は、どんな風に腹筋を鍛えればいいのか?ということですね。
妊娠中に鍛えるべきは、腹横筋です。
腹横筋とは、お腹の深部で横ばいに張り巡らされた「インナーマッスル」です。
一般的な「腹筋運動」は、「プランク」や「クランチ」など、腹直筋をターゲットにしたものです。
妊娠中に腹直筋を鍛えすぎると、両サイドの腹直筋の間に通る「白線」がストレッチされすぎてしまう「腹直筋離開」の原因になることがあります。
「腹直筋離開」はほとんどの妊婦さんが経験し、症状なく産後数週間で治ってしまうものが大半です。
しかし、人によっては腹圧がうまくかけられなくなることから、別の部分にプレッシャーがかかり、腰痛や骨盤まわりの痛みの原因になってしまうことがあります。
このことから、「プランク」や「クランチ」は妊娠中に積極的におこなわなくても良い筋トレです。
腹部を動かすわけですから、腹直筋やその周りの腹斜筋を全く動かさないことは不可能です。
しかし、妊娠中にはできるだけ横に走る「腹横筋」をターゲットにした腹筋エクササイズをすることをおすすめします。
妊娠中はいつから腹筋運動はしてもいいの?
よく妊娠初期には運動を控えるようにと言われることがありますが、最新のACOGガイドラインでは、妊娠中の運動に関して「いつから~」という明確な時期は設けていません。
同ガイドラインでの「運動の禁忌」とされる症状や、「運動中止のサイン」がなければ、妊娠期全てにおいて、運動をしても良いと記されています。
医師より運動を禁止されている等なければ、体調が良い時に無理のない程度におこなうのは、安全の範囲内といえます。
▼関連投稿:妊娠超初期は運動したらいけない?運動と流産の関係性と、運動を続けたい妊婦さんが気を付けること
https://yumiid.com/ninshinchosyoki-exercise/
妊娠中におすすめの腹筋エクササイズ
妊娠中におすすめの腹筋エクササイズをいくつかご紹介します。
初級:腹横筋のアイソレート
こちらは基本中の基本です。お腹の張りがなければ、毎日おこなっても大丈夫です。
腹式呼吸はストレス軽減効果もあるので、リラックスしたいときにも。
初級:バードドッグ
腹部の筋肉の他に、背中の筋肉も鍛えられます。四つ這いが苦しいと感じる場合は、おこなわないようにしましょう。
中級:パロフプレス
エクササイズバンドとそれを結びつける場所が必要ですが、腹横筋を効果的に鍛えられる筋トレです。
上級:スーツケースキャリー
ケトルベルやダンベルなどのウェイトを使います。姿勢矯正にもなる筋トレです。
妊娠中にプランクやクランチはしてはいけないの?
先ほど述べた「プランク」や「クランチ」ですが、妊娠中は全くおこなってはいけないのでしょうか?
これに関しては、全くダメということはありませんが、注意が必要です。
1.腹横筋を引き締めた状態でおこなうこと
プランクやクランチの姿勢に入る前に、息を吐いて腹横筋を引き締めます。
これが出来ていないと、「ドーミング」といって、腹横筋が上手く使えていない状態になります。
「ドーミング」は骨盤底筋群の負担になり、尿漏れなどの症状が悪化する原因になることがありますので、注意が必要です。ドーミングについて詳しくはこちらの記事にて。
必ず、腹横筋が使えていることを確認してから、プランクやクランチをおこなってください。
2.お腹がぶら下がる感じ、仰向けの状態が辛かったらやらない
中期を過ぎると、プランクのようにお腹が下向きでぶら下がるような感じや、仰向けの状態が苦しくなってくることがあります。
その場合は、おこなわない方がベターです。
妊娠中に「プランク」「クランチ」をおこなう場合は、やさしいバージョンを
床に手つき、背中付きでの「プランク」「クランチ」をどうしてもおこないたい場合は、やさしいバージョンでおこなってみても良いでしょう。
プランクのやさしいバージョン
・椅子やソファでおこなう
・壁付きでおこなう
クランチのやさしいバージョン
・バランスボールの上でおこなう
バランスボールの上で行うことで、傾斜をかけることができ、衝撃を吸収してくれるので、床で仰向けでおこなうよりもゆるやかにできます。
仰向け自体が苦しいと感じることもあるので、その場合はおこなわないようにしましょう。
妊娠中のプランクやクランチを「ドーミング」をおこさずに行うのはなかなか難しいものです。私は、基本的には妊娠中のクライアントさんにはプランクやクランチはやらせません^^; なぜなら、必要ないからです。妊娠中には、妊婦さんに適した腹筋の鍛え方が他にも色々ありますので。
ですが、妊娠中でもどうしてもプランクやクランチをやりたい場合の注意点を書いてみました。
まとめ
元々筋トレをしてきた妊婦さんには、物足りないと感じるかもしれませんが、妊娠中に腹筋を鍛える目的は「絞るため」ではありません。
私は中期以降は全くプランクもクランチもおこなわず、先に挙げたおすすめ筋トレのみでした。それでも十分、腹筋を保持できましたよ。
大切なのは、産後1~2ヶ月の間に焦って腹筋運動をしないということです。産後は、まず体の治癒が最優先です。
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ではでは、妊娠中も腹筋を鍛えて、ヘルシーマタニティライフを!
<参考文献>
1. The American College of Obstetricians and Gynecologists. (2015, reaffirmed 2019) Physical Activity and Exercise During Pregnancy and the Postpartum Period
