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エストロゲン・ドミナンス(エストロゲン優勢)って何?

エストロゲン・ドミナンス(エストロゲン優勢)って何?-yumiid.com

エストロゲン・ドミナンス・シンドローム(エストロゲン優勢/estrogen dominance)って何?-yumiid.com

こんにちは!ヘルスコーチのYUMI(@yumiid/@you_me314)です。

今回のテーマはエストロゲン・ドミナンス(エストロゲン優勢/estrogen dominance)です。

エストロゲン・ドミナンスについては以前の投稿でちょくちょく書いていましたが、これについて詳しい記事を書いていなかったので、今回まとめてみました。

あまり聞かない言葉かと思いますが、エストロゲン・ドミナンスはPMSをはじめ、重い生理、無月経、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)、子宮内膜症、子宮筋腫、不妊、乳がんなど、女性が経験する不調や病気の大きな原因となっています。

実は、女性だけではなく男性も無視できない話題です。なかなか取れないお腹の肉も、女性ホルモンのエストロゲンが関係しているからです。

※私はホルモン専門の医師ではありませんので、この記事は医師の診断に替わるものではありません。ただし、ホルモン専門の婦人科医の発信する情報に基づいて、記事をまとめています。ソースは記事下の「参考文献」をご参照ください。

それでは、そもそもエストロゲンって何だっけ?というところからおさらいしましょう。

2つの女性ホルモン・エストロゲンとプロゲステロン

エストロゲンって何?

エストロゲン-環境ホルモン-エストロゲン・ドミナンス・シンドローム(エストロゲン優勢/estrogen dominance)って何?-yumiid.com

女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)プロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があります。

よく「大豆イソフラボンで女性ホルモンを整えよう」なんていう文言をみかけるかもしれませんが、それはエストロゲンの方です。

エストロゲンは、生理周期の前半(卵胞期)に出てくるホルモンです。卵胞ホルモンともよばれています。

エストロゲンにはこんなはたらきがあります。

・子宮内膜を厚くする
・肌つやを良くする
・乳房を発達させる
・骨を強くする
・脂肪をつける

総じていうと、エストロゲンは細胞の増殖を促すホルモンです。

エストロゲンは、そういう名前のホルモンがあるわけではなく、同じような働きをする3種類のホルモンの総称になります。

エストロゲン・ファミリー
・エストロン(E1)
・エストラジオール(E2)
・エストリオール(E3)

エストロゲンの中でも、この3つのホルモンがしかるべき時期にしかるべきバランスを保っている必要があります。特定のタイプのE1やE2は、いわゆる「悪さ」をすることのあるエストロゲンです。

例えば、乳がんや子宮体がんのリスクが高い人は、E1の中でも16α‐ヒドロキシエストロンというタイプのホルモンを作りすぎる傾向にあります。

もう一つの女性ホルモン「プロゲステロン」とは

プロゲステロン-エストロゲン・ドミナンス(エストロゲン優勢)って何?-yumiid.com

女性ホルモンといってもひとつではなく、生理周期後半(黄体期)にはプロゲステロンというホルモンが増えてきます。黄体ホルモンとも呼ばれていますよね。

プロゲステロンのはたらきには、こんなものがあります。

・子宮内膜の厚さを維持する(厚くなりすぎないように調整)
・余分な水分を排出する(自然な利尿剤)
・精神を安定させる
・体温を上昇させる

基礎体温を測ったことがある人はご存知かもしれませんが、プロゲステロンが出てくると体温が上がり「高温期」に入ります。プロゲステロンは、妊娠を可能にしてくれるホルモンでもあります。

エストロゲンとプロゲステロンは生理周期を通して入れ替わる

以下の図のように、生理が始まるとエストロゲンの分泌量が徐々に増えていきます。14日目の排卵の手前にピークになり、排卵が終わると分泌量が減ってきます(28日周期の場合)。

プロゲステロンは排卵後に分泌量が増え、受精卵が着床しなければ21日ごろをピークに分泌量が減り始め、28日目で生理が始まります。

生理周期-PMSなのにまだコーヒー飲んでるの?今すぐカフェイン断ちすべき理由-yumiid.com
出典:nurse-web.jp

 

このように、2つのホルモンが交互に入れ替わることが、ホルモンバランスが整っている状態です。エストロゲンとプロゲステロンという2人の主役が、交互にステージに出てダンスを踊っているイメージです。片方だけが出しゃばっても、バランスが崩れてどこががおかしくなってしまいます。

エストロゲン・ドミナンス(エストロゲン優勢)とは?

エストロゲン・ドミナンス(エストロゲン優勢)とは、プロゲステロンよりもエストロゲンの値が相対的に高くなってしまっている状態のことをいいます。

生理周期前半の卵胞期では自然にエストロゲンが優勢になります。
問題は、エストロゲンが高くなるべきではないときに、相対的にプロゲステロンより高くなってしまうことです。

複雑なのは、エストロゲン値が極端に高い状態だけが、エストロゲン・ドミナンスというわけではないことです。エストロゲン値が正常または少なくても、プロゲステロン値が相対的に少なければエストロゲン・ドミナンスの状態となります。

エストロゲンとプロゲステロン-エストロゲン・ドミナンス(エストロゲン優勢)って何?-yumiid.com

エストロゲン・ドミナンスにより起こりうる症状

エストロゲン過剰になると、こんな症状が起こります。

・浮腫み(水分貯留)
・乳房の痛み
・気分の上がり下がりや落ち込み
・感情的になる
・不安感
・頭痛
・ひどい生理痛

PMSの症状に似ているものもありませんか?

よくPMSの原因としてわかりやすくあるのが、「プロゲステロン(黄体ホルモン)」が出ているから仕方ない、という説明です。でも実は、プロゲステロンに対してエストロゲンが多すぎることが原因の一つなのです。

生理周期の後半はプロゲステロンが舞台に出て踊る番です。でも、この時にエストロゲンが体内にあふれていたら、プロゲステロンはしかるべき働きができません。プロゲステロンは、本来であれば自然の抗うつ剤や利尿剤として働くホルモンです。生理前に気分の落ち込みや浮腫みが出るのは、プロゲステロン自体のせいではありません。

プロゲステロンは悪者にされがちですが、エストロゲンとの相対的なバランスが保てていれば、悪さをすることはないのです。

また、エストロゲン・ドミナンスはこんな病気にも関連しています。

・子宮内膜症
・子宮筋腫
・乳がん
・子宮体がん
・子宮頸がん

なぜがんや子宮内膜症にエストロゲンが関係しているかというと、エストロゲンは細胞の増殖を促すホルモンだからです。子宮内膜症でいえば、生理周期の後半にはプロゲステロンが出てきて、子宮内膜が厚くなりすぎるのを止めにかからなければならないところ、エストロゲンが優勢だと子宮内膜の増殖がノンストップで行われてしまいます。このため、子宮内膜症の治療にはプロゲステロンを処方されることがあります。

近年、こういった病気を発症する人が急激に増えてきている背景には、エストロゲン・ドミナンスがあるのです。

その他、エストロゲン・ドミナンスは生理不順や無月経、不妊にも関係しています。

エストロゲン・ドミナンスを起こす原因

それでは、何がエストロゲン・ドミナンスを起こすのでしょうか?

1.ストレス

ストレス-エストロゲン・ドミナンス(エストロゲン優勢)って何?-yumiid.com

ストレス・・・またかぁという感じも知れませんね(笑)ストレスは何にでも関連しているようです。
PMSとコーヒーの関係性についての記事でも説明した通り、ストレスホルモンのコルチゾールはプロゲステロンに干渉します。コルチゾールとプロゲステロンは同じ材料(プレグネノロン)から作られるので、ストレスによりコルチゾールの需要が高まれば、プロゲステロンを作る材料が少なくなってしまいます。

また、コルチゾールはプロゲステロンと受容体(レセプター)を共有しています。受容体とは、細胞側のホルモンを入れる入れ物のようなもので、ホルモンがそこにスポっとハマることで、しかるべきはたらきをします。

コルチゾールが増えすぎると、プロゲステロンの受容体にハマってしまうことがあるので、プロゲステロンが足りていてもコルチゾールが多ければ、プロゲステロンがすべきはたらきを阻害されることがあります。

こうなるとエストロゲンの値がプロゲステロンに対して高まることになるので、エストロゲン・ドミナンスにつながります。

ストレス、コルチゾール、プロゲステロンについて詳しくはこちらを読んでみてください。

2.肥満

肥満-エストロゲン・ドミナンス(エストロゲン優勢)って何?-yumiid.com

エストロゲンは主に卵巣で作られますが、なんとびっくり、脂肪細胞でも作られます肥満の人は、エストロゲンを作りやすいということです。脂肪細胞からは「悪さ」をすることのあるエストロン(E1)が作られます。

米国の機能性医学の婦人科医Dr.Sara Gottfriedによると、閉経期に肥満の女性は、痩せている女性に比べて、エストロゲンのレベルが50~100倍も高いのだとか。肥満の女性の乳がんリスクが高いのは、脂肪細胞がエストロゲンを作っていることも関係しているといわれています。

また、アメリカ国立がん研究所によると、18歳の時から20kg以上も体重が増えた女性は、子宮体がんのリスクが5倍も高いことがわかっています。米国では、子宮体がんを発症する女性の40%が肥満なのだそうです。

3.閉経

閉経というと女性ホルモンが出なくなることではないかと思われがちですが、実は閉経が近づくとエストロゲンの値が一時的に高くなることがあります。

閉経の2~10年前のことを「周閉経期(しゅうへいけいき:perimenopause)」といって、使用できる卵子が少なくなってきます。それを感知した脳は、卵巣にエストロゲンをもっと出すように働きかけ、排卵を促します。手遅れになる前に妊娠するためです。周閉経期は、早い人だと35歳くらいから始まってしまいます

また、閉経が本格的に始まると、エストロゲンよりもプロゲステロンの方が先に減ってしまうことがあり、これもエストロゲン・ドミナンスにつながります。

本閉経の後は、女性ホルモンの卵巣からの分泌は急激に減りますが、分泌は続いています。エストロゲンは脂肪細胞、プロゲステロンは副腎で生産されるのです。ここで脂肪が多すぎるとエストロゲンが増えすぎますし、逆に副腎疲労などで副腎機能が衰えているとプロゲステロンの生産が滞ってしまいます。そして、エストロゲン・ドミナンスの状態をつくりだします。

4.環境ホルモン(ゼノエストロゲン、フィトエストロゲン)

環境ホルモン-エストロゲン・ドミナンス(エストロゲン優勢)って何?-yumiid.com

私たちを取り巻く環境には、エストロゲンと酷似した働きをするもので溢れています。これを環境ホルモンといったり、ゼノエストロゲンやフィトエストロゲンといいます。

例えば野菜や果物に使われる農薬や、プラスチックに入っているBPA日用品や化粧品に使われるパラベンやフタル酸エステルなど、数え切れません。こういった人工的な成分でエストロゲンを真似るものを「ゼノエストロゲン(Xenoestrogen)」といいます。私たちは、日常の生活の中で700種類以上ものゼノエストロゲンに接しているといわれています。

また、大豆に含まれるイソフラボンも、エストロゲンと似た働きをします。自然の中にある成分でエストロゲン様物質は「フィトエストロゲン(phytoestrogen)」とよばれ、他にもザクロやフラックスシードなどに含まれています。

これらのエストロゲン様物質は体内に入ると、体内の自然なエストロゲンの働きに干渉します。受容体については先ほど説明しましたが、環境ホルモンが自然のエストロゲンがハマるべきだった受容体を横取りしてしまいます。こうしてエストロゲン過多になり、エストロゲン・ドミナンス(エストロゲン優勢)の状態が作られます。

環境ホルモンは、脂肪細胞に蓄積します。脂肪細胞がもっとも集中しているところが乳房ですので、これが乳がんの元になることがあります。

また、ここ数十年で初経の時期が早まってきているのも、環境ホルモンの影響ではないかといわれています。

環境ホルモンは女性だけではなく男性にも関係があります。エストロゲン様物質が体内に増えすぎると、男性の精子の数が減ったり、前立腺がんの原因にもなるのではないかといわれています。また、胸が大きくなってしまう男性(筋肉ではなくて脂肪)が増えているのも、環境ホルモンが関連しているのではないかと考えられています。

5.食生活

食生活の乱れ、血糖値、ジャンクフード-エストロゲン・ドミナンス(エストロゲン優勢)って何?-yumiid.com

炭水化物中心の食生活では、血糖値が乱高下するため、コルチゾールの需要が高まります(詳しくは血糖値についての記事をご参照ください)。このため、1と同じプロセスでプロゲステロンが作られにくくor使われにくくなります。

また、いらなくなったエストロゲンを効率よく代謝して体外に排出するためには、食物繊維が助けになります。特に、アブラナ科の野菜に含まれるDIIM(ジインドリルメタン)という物質は、エストロゲンの代謝を助け、「悪さ」をするエストロゲンを排出してくれます。
このため、野菜不足の生活エストロゲン・ドミナンスに加担します。

輸入物の赤身の肉や乳製品には、畜産物を早く成長させるためにホルモン剤が使われていることがあります。また、エサとして与えられている穀物に農薬が使われていれば、それは体内に蓄積し、それを食べた私たちの体に入ることになります。

さらに、アルコールもエストロゲンの値を上げることがわかっています。たった1日2杯のアルコールでも、エストロン(E1)と、エストロゲンに変わることのあるDHEASを増やしてしまいます。

その他、遅延性アレルギーなどにより腸内環境が悪化していたり、果糖やアルコール過多により肝機能が低下していると、これも悪さをするエストロゲンの代謝を滞らせてしまいます。

私はエストロゲンドミナンスある?

こんな人には、エストロゲン・ドミナンスが疑われます。

・重い生理痛がある
・PMSがひどい
・乳房の圧痛がある
・筋腫が見つかった
・不妊ぎみだ
・PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)がある
・ピル、またはホルモンを処方されている
・体幹の肉がなかなか落ちない
・閉経期または周閉経期だ
・子宮内膜症がある
・婦人科系のがんが見つかった

詳しいことはもちろん、検査してホルモン値を調べる必要がありますが、知識として知っておくことで、普段の生活で気を付けられることが浮き彫りになります。

エストロゲン・ドミナンスを改善するにはどうしたらいい?

原因は人によって多種多様なので、一つの方法が全ての人に当てはまるわけはありませんが、まずすべきは原因となりうるものを排除することです。

エストロゲン・ドミナンスにはこれといって治療法はなく、一般的な婦人科では知られてもいないかもしれません。PMSや生理痛がひどいからといって婦人科にかかっても、避妊用ピルを処方されて終わることが多いのです。ピルを飲んだところで、人口のホルモンを入れるだけなので、自分の体の持つホルモン生産能力を向上できるわけではないので、根本的な解決にはなりません

だからといって放っておくと、子宮内膜症やがんなど、さらに大きな問題に発展することがあります。

まずは、こんなことから気を付けてみましょう。

環境ホルモンとの接触を減らす

・プラスチックのタッパーやボトルを使うのをやめる(少なくともプラスチックに入れた食べ物を加熱しない、ペットボトルの飲料を買う機会を減らしてステンレスのマイボトルを持ち歩く)
・パラベンやフタル酸エステルなどが含まれている化粧品、シャンプー、洗剤などを使わない
 →私はこの方法で洗顔してます
・できる限り無農薬の野菜を買う
→有機、低農薬の野菜なら宅配サービスがおすすめです
・輸入物の赤身の肉を避ける

ストレスマネジメントに心がける

・ストレス発散をする
・リラックスできることをする
・軽いヨガやメディテーションをする(コルチゾールを下げる働きがあります)
・環境を変える
・寝る

血糖値を安定させる

・低GIの炭水化物を少量、食物繊維とたんぱく質と一緒に食べる
・砂糖や小麦粉などの血糖値を跳ね上げる加工品を減らす

食物繊維を毎食多めに摂る

・特にアブラナ科の野菜(ブロッコリー、小松菜、チンゲン菜、キャベツ、水菜、ケール、芽キャベツ、カリフラワー)

カフェインを減らす
飲酒はミニマムに
脂肪を落とす

基本的に、気を付けるべきことは副腎疲労炎症の改善とほぼ同じです。

エストロゲン・ドミナンスは、病院に行って薬をもらえば治るというものではなく、改善には個人の努力が必要です。それにホルモンは見えないものなので、努力しづらいものです。

でも、女性がよく経験するPMSや重い生理などの背景には、エストロゲン・ドミナンスが潜んでいるということを知識として知っておくことは大切なことです。

体はPMSや重い生理を通して、何かがおかしいことを教えてくれているのです
今の時点でできる改善をしておけば、後々大きな病気につながることを防げる
かもしれません。

全てはつながっているのですから。

 

では、エストロゲン・ドミナンスについて学んだところで、もっともっと健康に!

 

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