私は以前ひどいニキビに悩まされたことがありますが、食事やライフスタイルの改善だけで、医者にかからずにどこまでニキビは治せるのか、チャレンジしました。結果ニキビはかなりキレイになりました。
ニキビ自然治癒の方法をお伝えすることが、このブログの目的の一つなのですが、そんな私にも弱点があります…
チョコレートです!!
ニキビの原因になると一般的に思われているチョコレート。
これだけは、やめられないんですよね!(基本的には85%以上のダークチョコレートのみですが)
ところで、最近「チョコレート」「ニキビ」と検索すると、医師監修の記事でも「チョコレートとニキビが関係しているという科学的根拠はない」と結論づけているものが多いようです。
ですが、それってちょっと結論急ぎすぎでない?と思うのです。
だってチョコレートってピンキリですよ。
砂糖がほとんどの「チョコレート風味の砂糖菓子」もあれば、カカオ85%で白砂糖不使用のハイクオリティなチョコレートなどもあるわけで。
それを同じ天秤にかけるのは、最新のiPhoneは無視して、らくらくホンだけレビューして「スマホって別にガラケーと変わらない」と言うようなものであり、非常に雑なくくり方だと思います!!
ダークチョコレート好きとしては、ミルクチョコレートこと「チョコレート風味の砂糖菓子」と高貴なダークチョコレート様を一緒くたにしないでほしい!!
ということで、今回はチョコレートの成分ごとに、果たしてニキビに関係があるのか、近年の研究を吟味しながら裁判にかけてみたいと思います。
チョコレートがニキビの原因になるのは嘘というのは本当?!成分ごとにニキビにつながる理由を分析!
多くの医師がチョコレートとニキビは関係ないと結論づけてしまった「問題の研究」
チョコレートとニキビの関連性でよく例に上がるのが、1969年のペンシルバニア大学のジェームズ・E・フルトン医学博士による研究です(1)。
ニキビのある65人を対象に、通常の10倍のチョコレートが含まれるバーか、見た目は一緒でもチョコレートの含有量が低いプラセボのバーを食べてもらいました。
結果は、いずれを食べたグループもニキビの症状には変化がないことが分かりました。
こうして、「チョコレートはニキビと関係ない」と結論付けられ、多くの皮膚科医の教科書が書き換えられのでした。
だからほとんどの皮膚科医は「チョコレートとニキビは関係ない」と信じているのですが、この研究にはいくつか欠陥がありました。
・対象の65人は、35人の男性の囚人、30名の思春期の男女とばらつきがあり、思春期特有のホルモン構成、女性の生理サイクル、ストレスレベル、食事、カフェインや喫煙の有無などが考慮されていない・プラセボのバーの砂糖と脂質の含有量が、チョコレートバーのものに似せて作られているため、チョコレートが原因であったのか砂糖と脂質が原因であったのか分からない・ニキビ症状の診断の仕方が雑
さらに、この研究は「アメリカチョコレート製造協会(Chocolate Manufacturers’ Association of USA)」の資金によっておこなわれています(2)。
ということで、信憑性に欠けるわけです。
ペンシルバニア大学という名門校がおこなったからという理由だけで信じてしまうのは、短絡的です。
時代は変わり、研究も新しくなってきています。
近年の研究は、チョコレートに含まれる成分について何と言っているか見ていきましょう。
1.砂糖はニキビの原因になる?
まず始めに、チョコレートのメインの成分「砂糖」です。
砂糖はいわゆる「糖質」ですね。砂糖のように精製された糖質は、血糖値を急上昇させる食品です。
血糖値を急上昇させる食品はGI値、食品の糖質量はGL値で表されます。
GI値・GL値の高い食生活をしている人は、そうでない人よりもニキビができやすいことがわかっています(3,4)。
2300人の思春期の学生を対象にした調査では、砂糖をよく使う人は30%もニキビができやすいリスクがあるということが判明しています(5)。
血糖値を上げすぎるとどうしてニキビにつながるかというと、インスリンが出すぎるからです。血糖値とインスリンのメカニズムについては、こちらの記事を参考にしてみてください。
インスリンが出すぎると、インスリン様成長因子-1(IGF-1)を放出させ、アンドロゲンというホルモンを放出させます。これが皮膚の細胞の成長を加速させ、皮脂の分泌過多を引き起こすため、ニキビに繋がります(6,7,8)。
こういうわけで、砂糖が大量に含まれるチョコレートは、ニキビの原因になりやすい食品ということになってしまいます。
ということは、成分表示に「砂糖」が前の方に来ているチョコレートはアウト!※成分表示では含有量が多い成分ほど前に表示されます。
2.乳製品はニキビの原因になる?
ミルクチョコレートなどに含まれているのが乳製品。成分表示には「全粉乳」という名前で書かれていることが多いです。
乳製品とニキビの関連性は、多くの研究で示されています。
牛乳やアイスクリームなどの乳製品の摂取量が多い思春期の人ほど、ニキビができやすいことがわかっています(9,10)。
大人を対象にした研究でも、乳製品の摂取量とニキビのひどさに関連性があると報告されています(11)。
こうしたことから、「全粉乳」や「練乳」が含まれているチョコレートはニキビの原因になりやすいので、アウト!
ましてや、ほとんど全粉乳といってもいいホワイトチョコレートはNGです。※ホワイトチョコレートにはカカオマスは含まれておらず、砂糖、全粉乳、カカオバターが主な成分です。
3.脂肪分はニキビの原因になる?
さて、砂糖や乳製品が含まれるチョコレートがNGなら、ダークチョコならきっと大丈夫だろう!!と思いを馳せますよね。
しかし、ダークチョコにも入っているのが脂肪分です。
脂肪分を一つ取っても、色々な脂肪分があります。製品によって使われている脂肪分が違います。
安価なダークチョコレートには、植物油脂が含まれています。比較的高級なチョコレートは、カカオバターしか使っていません。
植物油脂
植物油脂は、「植物」と名前が入るので、ヘルシーな響きがあるかもしれません。しかし実は、植物油は工業的に大量生産された油なので、実はあまりヘルシーではありません。
さらに、植物油は「オメガ6脂肪酸」というタイプの脂肪です。
それに対して、魚などに含まれる油が「オメガ3脂肪酸」です。DHAやEPAなどとしても知られていますね。
食生活の中でオメガ3に対してオメガ6の摂取量が多いと、体内で炎症を起こし、ニキビにつながる可能性があると考えられています(6,12)。
ということで、植物油脂入りのチョコレートはニキビの原因になりやすいので、アウト!
カカオバター
ではカカオバターはどうでしょうか?
カカオバターは強い抗酸化作用があり、ビタミンEやKなどお肌に良い栄養素も含まれています。また、炎症を抑える作用もあるので、ニキビには良いかもしれません。
カカオバターの脂肪酸の構成は、飽和脂肪酸が60%、一価不飽和脂肪酸(オメガ9)が35%、多価不飽和脂肪酸(オメガ6)が2%です。飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸は、比較的に酸化しにくい油です。
しかし、飽和脂肪酸の摂取量とニキビを関連付ける研究もあります(13)。
ただし、この研究では飽和脂肪酸と一緒に砂糖や乳製品、トランス脂肪酸など、他のニキビができやすい食品と一緒にして結果をまとめているので、飽和脂肪酸だけのせいとは言い切れないところがあります。
ということで、カカオバターはグレーゾーンということになります。
脂質に関してまとめると、
・植物油脂が含まれているチョコレートは控える
・魚を食べていなくて、カカオバター入りのチョコレートを食べているなら、魚を食べる回数を増やしてみる(もしくはDHAのサプリメント、フィッシュオイルなど)
・魚を食べていてもニキビが出るようならカカオバター入りのチョコレートも控える
という流れで、自分の体を観察してみてはいかがでしょうか?
4.カカオはニキビの原因になる?
さて、最後はカカオです。
カカオには抗酸化物質、カロテン、ビタミンB1、マグネシウムなど、現代人が不足しがちな栄養価が豊富に含まれています。
ですので、カカオ自体は体にとっても良いものです。
ではニキビとの関係はどうでしょうか?
最初に挙げた1969年の研究を受けて、本当にチョコレートがニキビに悪いのか、それとも含まれている砂糖が犯人なのかを突き止めるため、ある研究がおこなわれました(14)。
被験者はハーシーズのチョコレートバーか、ジェリービーン(グミのようなお菓子)を与えられ、ニキビの悪化度を比較されました。
そしたらなんと・・・
チョコレートを食べた被験者の方が、2倍もニキビが悪化したのです!
ということは、砂糖だけではなく、カカオの中に含まれる「何か」もニキビに加担しているということになります。
99%や100%カカオのチョコレートでもニキビが悪化する
99%や100%のピュアなチョコレートでもニキビができることがある、という結果も出ています。
オランダの研究では、14人のニキビができやすい男性に100%のカカオ入りのカプセルを7日間与えたところ、4日目でニキビが悪化したことが判明(15)。
マレーシアの研究では、25人のニキビができやすい男性に99%のチョコレートを4週間食べてもらったところ、特記すべきニキビの悪化がみられたとのこと(16)。
チョコレートを食べることで、IL-1βとIL-10という炎症マーカーが増えることが、ニキビに加担しているのではないかと考えられています(17)。
ただし、サンプル数が14人、25人と小さいリサーチであるため、どれほどの正確性があるのか疑問視されている研究ではあります。
100%チョコレートでは悪化しないという研究もある
チョコレートは悪者ではない、としている研究も存在します。
この研究では、ホワイトチョコレートと100%ダークチョコレートを、30日続けて食べてもらいました(18)。
結果、ホワイトチョコレートを食べ続けた被験者はニキビが悪化したものの、100%ダークチョコレートのグループには悪化が見られませんでした。
ということで、カカオが本当にニキビの原因になるのかどうかは、まだまだ大規模な研究が必要のようです。
結論:結局チョコレートはニキビの原因になるのか?!
モノによる、です。
最初に書いた通り、チョコレートはピンキリです。
「チョコレート風味の砂糖菓子」と「100%ダークチョコレート」を一緒にしてはいけません。
砂糖、乳製品、植物油脂には、ニキビの発生と関連するという研究がいくつもあります。一方で、カカオマス自体がニキビの発生と関連しているかどうかは、グレーゾーンです。
色々な研究を見てきた結果をまとめると、以下のような基準でチョコレートを選んでみてはいかがでしょうか。
・成分表示に「砂糖」「全粉乳」「植物油脂」とあるものは選ばない・カカオ、ココアバターが成分表示の先頭にあるもの・低GIの甘味料を使っている(ココナッツシュガー、非精製の砂糖など)
残念ながら、この基準を満たすチョコレートはコンビニには売ってませんね^^;
この基準を満たす、私のお気に入りのチョコレートを2つ紹介しますね。
ニキビのある人でもおすすめチョコレート
Vivani 92
このチョコレートはすごい!私の中でカンペキなチョコレート認定を受けています。
・オーガニック・成分はカカオマス、ココアバター、ココナッツシュガーのみ・低GI食品として認定されている・フェアトレード
甘いチョコレートを食べるのに慣れている人なら、かなり苦みを感じると思います。普段から砂糖を抜いた生活をしていると、こんなビターでも甘さを感じるようになります。
Amazonで買えますが、成城石井の方がちょっと安いです。
Lindz の90
砂糖を使っているのでVivaniには劣るのですが、有名なチョコレートーメーカーのLindzが手掛ける高カカオチョコレートです。砂糖は砂糖ですが、非精製の砂糖を使っているので、Vivaniが手に入らなかった時はコレ。Amazonでも買えます。
自分で作る
チョコレートを自分で作るならこのレシピで!
ニキビがある人のチョコレートとの付き合い方
さて、この記事を読んでどう感じられたでしょうか?
「もう一生チョコレート食べられない!えーん!!」なんて思わないでください。
私もニキビ肌ですが、ニキビ肌なりにチョコレートを楽しんでいます。
みんな遺伝子が違います。
女性なら生理周期によって、チョコレートからの影響の受けやすさも違ってきます。※私は生理前だとやはりできやすくなります。生理前に一番チョコレートを食べたくなるのに…!
「医者が言っているから」「科学的根拠がないから」を盲信しないで、あなた自身の体を観察しましょう。
もしチョコレートをたくさん食べてニキビができるようなら、1週間抜いてみましょう。
ニキビが良くなるようであれば、そのチョコレートが合わないということ。
高カカオチョコレートを試してみて、それでどうなるか観察してみましょう。
ちなみに、ハイクオリティのチョコレートだからといって、バクバク食べるのはおすすめできません。カフェインの含有量も多いので、食べすぎには注意が必要です。
1日ひとかけら、ゆっくり味わって楽しむようにしてみてはいかがでしょうか。その方が財布も喜びます(笑)
あなたの体のことは、あなた自身が一番よくわかるはずです。
よく観察して、自分の体で「実験」をしてみましょう。
「ニキビができてもいいからチョコレート食べたい!!」なのか、「いや絶対に治したいからもう食べない」なのかはあなた次第。
あなたに合うチョコレートとの距離感を、模索してみてくださいね。
<参考文献>
1. James E. Fulton Jr, et al. (1969) Effect of Chocolate on Acne Vulgaris https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/350738
2. William Goh, et al. (2011) Chocolate and acne: How valid was the original study?https://www.researchgate.net/publication/51225468_Chocolate_and_acne_How_valid_was_the_original_study
3. Burris J, et al. (2017) Differences in Dietary Glycemic Load and Hormones in New York City Adults with No and Moderate/Severe Acne. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28606553
4. Çerman AA, et al. (2016) Dietary glycemic factors, insulin resistance, and adiponectin levels in acne vulgaris. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27061046
5. Aksu AE, et al. (2012) Acne: prevalence and relationship with dietary habits in Eskisehir, Turkey. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22070422
6. Cordain L. (2005) Implications for the role of diet in acne. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16092796
7. Cordain L, et al. (2003) Hyperinsulinemic diseases of civilization: more than just Syndrome X. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14527633
8. Smith R, et al. (2008) A pilot study to determine the short-term effects of a low glycemic load diet on hormonal markers of acne: a nonrandomized, parallel, controlled feeding trial. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18496812
9. Ulvestad M. (2017) Acne and dairy products in adolescence: results from a Norwegian longitudinal study. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27422392
10. LaRosa CL, et al. (2016) Consumption of dairy in teenagers with and without acne. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27241803
11. Ismail NH, et al. (2012) High glycemic load diet, milk and ice cream consumption are related to acne vulgaris in Malaysian young adults: a case control study. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22898209
12. Simopoulos AP. (2002) Omega-3 fatty acids in inflammation and autoimmune diseases. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12480795
13. Jennifer Burris, et al. Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics (2014) Relationships of Self-Reported Dietary Factors and Perceived Acne Severity in a Cohort of New York Young Adults https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S221226721301681X
14. Gregory R. Delost. (2016) The impact of chocolate consumption on acne vulgaris in college students: A randomized crossover study https://www.jaad.org/article/S0190-9622(16)01395-5/fulltext
15. Caroline Caperton, et al. (2014) Double-blind, Placebo-controlled Study Assessing the Effect of Chocolate Consumption in Subjects with a History of Acne Vulgaris https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4025515/
16. Vongraviopap S, Asawanonda P. (2016) Dark chocolate exacerbates acne. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26711092
17. Netea SA, et al. (2013) Chocolate consumption modulates cytokine production in healthy individuals. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23465690
18. Pierre Dougan, Naser Rafikhah. Asian Journal of Clinical Nutrition. (2014) Dark and White Chocolate Consumption and Acne Vulgaris: A Case-Control Study https://scialert.net/abstract/?doi=ajcn.2014.35.40