こんにちは!ヘルスコーチのYUMI (@yumiid/@you_me314)です。
私は今まで書いてきた記事の中で何度も、血糖値を安定させることの重要性を訴えてきました。血糖値の急上昇・急降下が、全ての「なんとなく不調」から始まり、糖尿病やがんなどの病気に、深く深く関わっているからです。
ダイエットが目的で、検索でこのサイトを見つけてくださった方も、頭痛、過食、倦怠感、疲れやすさ、アレルギー、PMSやニキビなどの不快な症状でお悩みの方も、血糖値の問題は他人事ではありません。全ての症状につながっていますから。
私も頭痛、過食、倦怠感、疲れやすさ、アレルギー、PMSやニキビなどに悩まされてきました。
これらを改善するために、食事、睡眠、運動、ストレスマネジメントなど色々な対策をしましたが、全ての土台となっているのが、血糖値を安定させる食生活だと思っています。
流行りの健康食品より何よりも、こちらの方が重要と、自信をもって言えます。
ダイエットを頑張っている人は、ダイエット食品よりもカロリー制限よりも、血糖値の安定を優先すべきです。
ということで今回の記事では、血糖値のメカニズムや乱降下にともなうリスク、インスリンの働き、血糖値を安定させる食生活のコツなどを、今一度きちんとまとめてみました。
血糖値についてきちんと理解しよう
血糖値の急上昇・急降下にともなう症状や病気
まず、血糖値の問題を他人事としてスルーしていただかないためにも、血糖値が乱降下することによって起きうる不調の一例をみていきましょう。誰しも何か一つくらいは経験したことがあるかと思います。
▼体全体にまつわる不調
・疲労感
・倦怠感
・頭痛
・朝起きられない
・不眠
・めまい
・免疫力の低下
▼精神・脳にまつわる不調
・集中力の低下
・頭がぼーっとする
・イライラ
・気分の上がり下がり
・気分の落ち込み
・不安感
・怒りっぽさ
・感情の爆発
・うつ症状
・暴力的行動
▼生理機能にまつわる症状
・PMS(月経前症候群)
・重い生理痛
・PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)
・不妊
▼ダイエットにまつわる悩み
・浮腫み
・痩せにくさ
・腹回りの脂肪
・渇望感(食欲が止まらない)
・肥満
▼アレルギー疾患
・花粉症
・鼻炎
・蕁麻疹
・発疹
・アトピー
・ぜんそく
▼肌に関する問題
・皮膚のかゆみ
・油っぽい肌
・ニキビ
・吹き出物
▼整体に関する問題
・腰痛
・関節痛
・骨折しやすい
・骨粗しょう症
いかがでしょうか?何か一つくらい経験したことがあるという方が大半ではないでしょうか。
こんなにたくさんの症状が血糖値の問題に関連しているとは、にわかに信じがたいと思います。でも、日本語になっていないだけで、世界中では血糖値とこれらの症状の関連性を裏付ける研究が、数多くなされています。
もちろん、どれも不安定な血糖値のみが原因とは言い切れません。しばしば他の問題と合わさって起こるので、あくまでも要因の一つとしてとらえてください。
それぞれの症状の、血糖値との関連性を細かく説明していると、本が書けてしまいそうなので端折りますが、自分が経験している症状に少なくとも関連がある可能性をふまえて、この先を読み進めていただけたらと思います。
そもそも血糖値って何なの?
血糖値とは、血液中のブドウ糖(グルコース)の濃度のことです。いわゆる糖質(炭水化物)を食べると、体内でブドウ糖に変えられます。そしてブドウ糖は血流に乗り、体中の細胞に運ばれ、エネルギーとして使われます。
ここで血中のブドウ糖が増えすぎると、膵臓(すい臓)からインスリンが放出され、肝臓や筋肉の細胞に作用して血中の糖を取り込ませ、血糖値を下げるというわけです。
ちなみに一日にわたって血糖値が上がり下がりするのは普通のことで、空腹時はで80~100mg/dL程度、食後2時間後で140mg/dL未満が正常値と考えられています。
問題は糖質を大量に食べると、血糖値が上がりすぎ、今度はインスリンが大量放出して血糖値を下げすぎてしまうことなのです。
血糖値が上がると何が起こるのか
ここで、糖質を大量に食べた後に血糖値がどのような変化をたどるのか、図をみながら説明していきます。
1.血糖値の上がりやすい糖質を大量に食べる
2.糖質はブドウ糖に変えられ、血糖値が急激に上昇
いわゆるシュガーハイの状態で、一時的に元気が出たり、エネルギーがアップして覚醒した状態に陥ります。エナジードリンクや、甘~いものを食べた後に感じるアレです。
3.膵臓からインスリンが大量に出て、血糖値が急激に低下
ここで、血糖値は下がりすぎて低血糖の状態に陥ります。
低血糖の状態とは、眠気、空腹感、頭痛、頭がぼーっとする、集中力の低下、しびれ、震え、動悸、心拍数の増加、発汗、不安感などです。食後に眠くなったり、食べたばかりなのになぜかお腹が減った、というのはこの状態が疑われます。
4.コルチゾールやアドレナリンなどの血糖値上昇ホルモンが出る
血糖値が低い状態は危ないので、血糖値を上げるホルモンが出されます。血糖値を上げるのは、膵臓から出るグルカゴン、副腎から出るアドレナリン、ノルアドレナリン、コルチゾールなどのホルモン。人によっては、気分が高揚したり、血圧が上昇したり、イライラ・焦燥感を感じたり、怒りっぽくなったりします。
5.血糖値のジェットコースター
食事のたびに1~4がリピートされ、血糖値はまるでジェットコースターのように急上昇・急降下を繰り返します。そして長期的にこれを繰り返していくと、肥満、インスリン抵抗性、ホルモンバランスの乱れ、糖尿病、そして炎症が原因のさまざまな疾患や病気につながっていくわけです。
血糖値のジェットコースターを続けると起こる「インスリン抵抗性」とは
このように、血糖値のジェットコースターが繰り返される食生活を続けていくと、インスリン抵抗性が起こります。
インスリン抵抗性(insulin resistance)とは、インスリンが効きにくくなった状態です。血糖値が乱降下する食事を続けると、血中に大量のインスリンが出ている状態に慣れてしまい、細胞がインスリンに反応しにくくなります。
すると脂肪、筋肉、肝臓などの細胞の、インスリンに対する反応が鈍り、高血糖の状態が続きます。結果、肥満や糖尿病につながるのです。
糖尿病は、細胞側のインスリン抵抗性に加え、膵臓が疲れてインスリンが出にくくなったことが原因であったり、この二つの要因のダブルパンチで起こります。
インスリン抵抗性は糖尿病にとどまらず、高血圧、肝機能の低下、アルツハイマー、膵臓がんを始めとする様々ながん、骨粗しょう症、心疾患などにつながることがわかっています。
血糖値を急上昇させるものって何だ?
血糖値を特に急上昇させるのは、白砂糖、白い小麦粉、白米などの精製された糖質(カーボ)です。
これらの食べ物はエンプティ・カロリー(空のカロリー)と呼ばれ、食物繊維やビタミン、ミネラルが取り除かれていて、栄養価の低い食品です。
血糖値の上がりやすさはGI値で表されます。GI値とはグリセミック・インデックスの略で、数字が大きければ大きいほど血糖値を上げやすい食品となります。
単に精製された糖質を抜けばいいわけではなく、併せて気にかけたいGL値
GI値が高い食品を避けていればOKというわけでもありません。
GI値が低い食品でも、糖質が含まれているのなら、量を取りすぎれば血糖値は上がってしまいます。低GI値だからといって、さつまいもやフルーツなどを食べすぎてしまったら、高GI食品を食べた時と同じように血糖値が急上昇してしまうのです。
GI値と併せて気にかけたい指標として、GL値(グリセミック・ロード)があります。GL値は、一食分あたりの糖質量とGI値から計算した数値です。
GL値は、下記の計算式で求められます。
例えば、GI値70の白米をお茶碗1/4杯食べたとします。糖質量は12gとします。
GL値=12×70÷100=8.4
一方で、GI値がもっと低いりんごを食べたとします。りんごのGI値は36です。ここで、ふじりんごを丸一個食べたとします。大きなふじりんごは大体300g、糖質量は45gとします。
GL値=45×36÷100=16.2
となるので、GI値の高い白米をほんの少し食べた時よりも、GI値の低いりんごを丸一個食べた時の方が、GL値上での計算では血糖値が上がりやすいということになります。
GL値10以下であれば、血糖値へのインパクトは比較的少なく、10~20が中程度、20以上が高GL値とされています。
人によってはGI値が低くても血糖値が上がりやすい食材も
また、血糖値の上がりやすさには個人差があります。人によっては、GI値が100以上もある白砂糖よりも、GI値50程度のバナナの方が血糖値が上がりやすいこともあります。
血液中に入ってしまえば、同じブドウ糖だからです。
筋金入りの健康オタクで知られるライターの高城剛さんは、発芽酵素玄米だけをゴマ塩をふってひたすら食べ続けるというストイックな生活をしていました。そのハマりっぷりは、海外旅行の時でも玄米圧力炊飯器を持ち歩くくらい。ところが自分の血糖値を調べたところ、白米よりも玄米の方が血糖値が上がりやすい体質であることが判明したそうです。
このように、GI値が高いとされている食品を摂取したからといって、血糖値がすぐに急上昇するわけではなく、個人差と量も併せて考える必要があります。
血糖値スパイクとは
高糖質の食事により、血糖値が急上昇することを血糖値スパイクといいます。これは、一時的に気分が良くなったり、元気がわいてくる感覚をもたらしてくれます。
エナジードリンクや栄養ドリンクはこの作用を狙って、大量の砂糖が使われているので、一時的に血糖値スパイクが起こり、エネルギーが沸いてくる感じがします。
でも、数十分〜数時間すると眠気がでてきたり、イライラしてきたりするので、エナジードリンクはエネルギーの「前借り」のようなものなのです。
甘いものを食べると元気がでる、というのも血糖値スパイクの状態です。
このため、私は忙しいときやストレスが溜まっているときほど、甘いものを注意深く避けるようにしています。後々、余計疲れますから。
糖質に関して一つ理解しておきたいこと
これを読んでいるあなたも、私も、糖質は大好きですよね(笑)
大好きな糖質を抜かなきゃいけないなら、「いったい何を食べたらいいのよ!」という感じだと思います。
外食しようにも、カフェにいこうにも、お土産を買おうにも、美味しそうにみえるものは何でも糖質ばかり・・・。
でも一つ理解しておきたいのは、私たちがこんなに糖質の多い食事をするようになったのは、人類史でみてもつい最近であるということです。
私たちの祖父母の時代は、こんなに身近に砂糖の入ったものは手に入らなかったし、糖度の高いトロピカルフルーツなんて手に入らなかったでしょう。でも今ではカンタンにコンビニで手に入り、意識していないとそればかりの食事になってしまいます。
私の祖父は、第二次世界大戦の時に東南アジアに駐留しましたが、その時の自伝に「バナナやパイナップルとよばれる、今までに見たこともない果物を食べた」とありました。つい70~80年前に日本人が聞いたこともなかったフルーツが、今やお店で手軽に買えるようになったのです。
糖質過多は、人類史でみても未曾有の事態といえます。
一世紀前をふりかえっても、糖尿病というのはこんなにも溢れていなかった。アレルギーもなかった。癌や心臓病といった疾患も、今ほど蔓延していなかったのです。一世紀前に多い死因といったら、栄養失調や感染症でした。私たちが今、直面している不調や疾患は、食生活が影響していることに他ならないのです。
ここ50~100年で食ががらりと変わったこと。
そして、こんなにたくさんの人が、こんなに不快な症状や疾患を経験していること。
それが、糖質過多な食事は自分たち思っているほど、自分たちの体に合っていないことを表していないでしょうか。
血糖値が急上昇・急降下しないために気を付けられること
さて、長くなりましたが、最後に血糖値を安定させるために気を付けられることを見て行きましょう。
1.精製された糖質などGI値高めの食材は控えめに
白砂糖、小麦粉、白米などのGI値が高い糖質を控えめにしましょう。
二度と食べるなとは言いません。でも、それだけ単体で食べないようにするだけで大分違います。食べるなら食物繊維とたんぱく質を一緒に摂ってあげましょう。
例えば、うどんを食べるなら、トッピングのネギと天かすだけよりも、月見とわかめをプラスした方が、たんぱく質と食物繊維がプラスされるので、血糖値の上昇を比較的緩やかにできます。
いきなりパン、いきなり白米、空腹時の甘いおやつは、血糖値スパイクにつながります。
これを避けるだけでも大分違います。
具体的なGI値・GL値については、シドニー大学の提供するデータベースを元に、いかに表にまとめてあります。
また、糖質全体を減らす必要があるなら、朝に抜くのが取り入れやすく、効果が出やすいと私は思います。
2.糖質を食べる順番に気を付ける
食べるときは「ベジファースト」といって、野菜→肉/魚/卵などのたんぱく質→糖質の順を心がけると良いでしょう。
食物繊維、たんぱく質を先に食べると、血糖値の上昇が緩やかになります。
同じ理由で、デザートやお菓子を食べるなら、空腹時ではなく食後に食べると良いでしょう。
3.GI値が低くても糖質を食べ過ぎない
GI値の高い精製された糖質を食べないようにしていても、GL値が高かったら血中の糖度は高まります。さつまいものGI値が低いからと言って、大量に食べたら同じことです。
人それぞれ炭水化物の許容量は違うので、食べた後眠くなったり、諸々不快な症状が出ないか確認しつつ、最適量を探してみてください。
4.インスリン感受性を高める
インスリン感受性とは、インスリン抵抗性の反対で、少しのインスリンでも細胞が反応しやすい状態です。インスリンが少なくて済むので、その分脂肪を蓄えにくくなるし、膵臓に負担をかけることもありません。
インスリン感受性を高めるには、1~3で説明したような、低糖質・高食物繊維・高たんぱくの食事をすることです。続けることで、インスリンに対して細胞が敏感になります。
また、筋トレなどの運動でもインスリン感受性が高まるので、食事改善に加えて習慣化できるといいですね。
まとめ
実際の血糖値の波というのは、テストをしてみないとわからない部分もありますが、血糖値の急上昇・急降下にともなって起こる不快な症状は、心当たりのある人も多いのでは?
新しい健康食品、ダイエット法を試す前に、血糖値の波を安定させることをまず試してみてください。
糖質制限をしても痩せないという人は、たんぱく質多めの食事をしているのに、空腹時にいきなりケーキを食べていたりしませんか?(TwitterやInstagramでよく見かけます…)
糖質量を抑えていても、血糖値スパイクを起こしたら、その分インスリンが出て脂肪をため込むので、努力が無駄になってしまいます。
最初に挙げた不快な症状をひとつでも経験しているのであれば、思い切って食生活を改善してみる価値があると思います。
今はちょっとした不快な症状で済むかもしれませんが、今後大病につながっていくことも、十分あり得ます。
未来の家族のためにも、今の自分の健康を気遣ってあげてください。
それでは、血糖値の安定を心がけて、もっともっと健康に!
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溝口 徹(2013). アレルギーは「砂糖」をやめればよくなる!
伊藤正裕, 中村陽市(2014). これでわかる! 人体解剖パーフェクト事典
Keira Barr(2018). The Skin Whisperer: A Dermatologist Reveals How to Look Younger, Radiate Beauty and Live the Life You Crave
Datis Kharrazian(2013). Why Isn’t My Brain Working?: A revolutionary understanding of brain decline and effective strategies to recover your brain’s health
Heritage Integrative Healthcare. What is Insulin Resistance?
厚生労働省e-ネット. 食後高血糖
Glycemic Index Foundation. What About Glycemic Load?
Harvard Health Publishing. Glycemic index for 60+ foods