世界幸福度ランキング2018年(World Happiness Report 2018)が発表されました。
幸福度No.1に選ばれたのは、北欧の国フィンランドです。
GDP・健康寿命・社会的支援・自由・寛容・汚職などの要素をもとに順位付けが行われているこのランキング。
経済的指標だけではなく、人生における選択選択の自由度、困ったときに頼れる人がいるのか、チャリティなどに寄付する寛容さ、といったソフトな部分のデータも加味してランク付けされています。
フィンランドといえば、みんな大好きムーミンの発祥地ですね。高い教育水準を誇り、Nokiaなどの企業の発祥地としてITに強いイメージがありつつも、オーロラが見られたりフィヨルドで有名だったりと、大自然が豊富な国としても知られています。
また、私の大好きなマッシュルームコーヒーの会社、Four Sigmaticの創業者のテロ・イソカウッピラ(Tero Isokauppila)さんもフィンランド出身なので、個人的には森林の中をキノコ採集に行けるイメージがあります(笑)。
さて、気になる日本の幸福度ランキングはというと、昨年の51位から下げて、54位でした。
健康寿命は香港、シンガポールに次いで3位なのにもかかわらず、寛容度や汚職(政治への信頼度)の指標がかなり低く出てしまっていました。
社会的、政治的な背景はなかなか変えられないものなので、悲観してもしょうがないです。でも、私たち個人が幸福度を上げるためにできることはたくさんあるはず。
フィンランドの人々は幸福度を上げるために、どんな健康にいいことをしているのでしょうか?
日本にいる私たちが今日から盗める、フィンランド人の幸せのコツをのぞいてみましょう!
幸福度ランキング1位のフィンランド人から盗め!もっと幸せを感じるコツとは?
1.フィンランドはサウナ大国
フィンランド人は大のサウナ好きのようです。フィンランドでは、家庭にサウナが1室以上あるのが当たり前。
なんと、フィンランドの総サウナ数は総人口を上回っています。バーガーキングにでさえサウナが設置されている店舗があるとか。
サウナが体に良いことは言うまでもありませんよね。
まず、血流を良くしてくれます。からだ中に血が潤滑に巡るようになり、臓器や脳に酸素や栄養が行きわたりやすくなります。冷えの解消にもなります。
また、発汗を促すので素晴らしい解毒効果があります。皮膚は実は最大の排泄臓器です。発汗をすることで、尿や便で出し切れない老廃物を外に出すことができます。運動やお風呂が体にいい理由のひとつは、発汗によりデトックスすることができるからです。
フィンランド人にとってのサウナは健康法のひとつであるだけではなく、家族団らんや親しい人と交流するための、大切なソーシャルの場であるようです。
親しい人と団らんをするだけでも、幸せを感じるときに分泌されるホルモン「セロトニン」が分泌されます。また、肌と肌が触れ合えば、安心感や愛情をアップさせてくれるホルモン「オキシトシン」が分泌されます。
そういった面からみても、サウナはフィンランド人にとってハッピーでいるために欠かせない場と言えるでしょう。
2.森林浴のできるアウトドアが盛ん
フィンランドでは、スキー、釣り、湖でのクルージング、ハイキング、ゴルフなど、森林の中でおこなうアウトドアが人気のようです。
また、ハスキー犬やトナカイに乗ってサファリに繰り出したり、エルク狩り(北欧の鹿)など、日本ではなかなか聞かないエキサイティングな遊びもできます。
フィンランドでは、「Freedom to Roam(フリーダム・トゥ・ローム)」といって、公有地・私有地を問わず、放浪したりアウトドアを楽しんだりする権利が認められています。日本語では「自然享受権」と訳できるようです。
これは、土地の所有者の害になったり、自然を破壊しない程度であれば、田舎の森林を自由に歩き回ったり、スキーしたり、自転車で移動したりしてもOK!という権利です。もちろん、他人の庭や畑に勝手に入ることはできませんが、持ち主がはっきりしない森林などであれば勝手に入ってキャンプをしても良いそうです(笑)。また、野生のベリーやキノコを採ったり、釣りをすることも許されています。ワイルドに放浪できるということです。
森林の中で時間を過ごすことは、ストレスホルモンを下げる効果があります。さらに、くよくよ思い悩む脳のパーツ「脳梁膝下野(のうりょうしっかや:subgenual prefrontal cortex)」の働きを沈めてくれるので、うつ病の予防にもなります。
▼森林浴のメリットについて詳しくは
森林の中で体を動かしたりのんびりする文化が根付いている点も、フィンランド人の幸福度が高い要因のひとつのようです。
3.ときにはおバカな遊びを全力で楽しんでいる
フィンランドでは、思わず吹き出してしまうような競技が国民に親しまれています。
例えば・・・
奥様運び世界大会(World Wife Carrying Championship)
出展:AFP News
奥様を担ぎながら、水や木の障害物を乗り越える競争です。毎年7月に世界大会が行われます。
ちょっと参加してみたいですが、逆さまで担がれている奥様も大変そうですね(エストニアスタイルと呼ばれているらしい笑)。
エアギターワールドチャンピオン(Air Guitar World Championships)
出展:Air Guitar World Championships
ヘビメタ好きで知られるフィンランドですが、こんな大会をガチで繰り広げているそうです。ちょっとカッコいい。
携帯電話投げ世界大会(Mobile Phone Throwing World Championships)
出展:Imgr
携帯電話発祥の地として、リサイクルする前の携帯を投げてストレス発散して遊んじゃえ―!という大会です。
その他にも、雪まみれラグビー、泥んこサッカー、ゴムブーツ投げ、蚊ハンティングなど、「アホやん!!」と思うような競技を全力で楽しむフィンランド人。
笑いというのは、最強のストレス解消法です。たまには全力でバカになることも、幸せの秘訣なんですね。
4.遊びを大切にしている
フィンランドがしばしば世界の注目の的となるのが、教育レベルの高さ。
フィンランド人はどれだけ勉強しているんだ!と思うかもしれませんが、フィンランドの義務教育は7歳から開始と、ちょっと遅め。
また、学校には宿題がありません。平日も、夏休みも、宿題は一切なし!
フィンランドの教育システムでは、家族との時間や、スポーツをしたり、余暇を楽しむ時間のほうが重要とされているようです。学校自体もたった週20時間程度と短めです。それなのにフィンランドの学力水準は世界トップクラス。
遊びを通して、頭の柔らかさが養われ、自由な発想をすることができる。
そこからクリエイティビティが生まれ、学びにつながると考えられているようです。
日本のような詰込み教育とは正反対ですね!
でも日本だってそんなに悪くはないよ
幸福度が年々下がっている日本。教育水準も世界と比べると下がってきているし、少子高齢化は進むし、税金は増えるし、保育園問題は解決されないし、会社ではパワハラセクハラマタハラに・・・と、社会全体を見ると悲観しがちですが、個人レベルでは幸せを感じるためにできることはたくさんあります。
私は日本だって捨てたもんじゃないと思っています。
だって夜に女性が外を一人で歩いても安全だし、水道水は飲めるし、電気は止まることがない。
色々問題がありしも、医療制度は整っているし、教育はタダ同然で受けられるし、公共交通機関も整っている。
日本は、産まれてくる赤ちゃんの生存率が世界最高レベルということをご存知ですか。
これは高度医療が整っていて、医療保険制度もきちんとしている日本だからこそ、実現できることなのです。赤ちゃんの生存率が40%以下の国もまだあります。不衛生な場所で生まれて感染症にかかったり、医療保険のサポートがない国のように、高度医療を受けたら多額の請求が来て自己破産してしまう、といったこともありません。なんて恵まれているのでしょうか。
でも日本人の幸福度がこんなに低いのは、自分たちがすでにどんなに素晴らしいものを与えられているかを忘れてしまっているからです。
ファースト・ワールド・プロブレムという英語のスラングがありますが、「先進国特有の悩み事」という意味です。ネットのつながりが悪いとか、ピザの宅配が遅れたとか、そういうことでイライラすることを皮肉って言う言葉です。
社会インフラが整ってくると、それがあって当然のように思えてきてしまいます。
そして、あってもなくても死なないような些細な事のために、イライラしたり思い悩んだりしてしまいがちです。それが人間です。
だからこそ、すでに持っているものに目を向けて、感謝して喜ぶ姿勢を養うことが大切だと思います。
国や社会のシステムはなかなか変えることはできません。
でも、私たち個人レベルで変わることはできます。
私たち日本人もフィンランド人に習って、もっと血流を良くして、人との交友関係を楽しみ、森林に繰り出し、本気でバカになって、笑って遊びましょう。
ではでは、もっともっと健康に!
World Happiness Report 2018. http://worldhappiness.report/ed/2018/
AFP. 世界で最も幸せな国はフィンランド 国連調査、日本54位
Donders Institute for Brain, Cognition, and Behaviour, Centre for Neuroscience. The reciprocal interaction between serotonin and social behaviour.
Hiroshima University. Decreased ventral anterior cingulate cortex activity is associated with reduced social pain during emotional support.
VisitFinland.com. 21 Reasons To Love Finland