※本記事はハイローラージャパンのウェブサイトにて書かせていただいたコラムの転載になります。
筋トレ後に怖いのが、筋肉痛ですよね。筋肉痛が嫌だから、筋トレはしたくないという人もいらっしゃるくらいだと思います。
年がら年中筋トレをしている私としては、むしろ筋肉痛がきていないと「あれ?おかしいな?」と感じるくらいです(笑)。
筋肉痛があるということは、筋組織が筋トレによって破壊され、筋肉がより強くなってきている証拠です。
頑張りの証ではありますが、筋肉痛は一種の炎症反応です。
あまりに強い筋肉痛は免疫システムを弱め、ウイルスや雑菌に感染しやすくなることがあります(1)。
もちろん、オーバートレーニングをしないように気を付けるのが一番です。
ですが、すでにトレーニングをやりすぎてしまった時は、どうしたら良いのでしょうか?
運動後のクールダウンの方法としては、ストレッチが一般的ですね。
ですが、筋肉痛を軽減する方法としては最適ではないかもしれません。
最新の研究では何と言っているか、みていきましょう。
筋肉痛にストレッチは、実は効果がない
筋肉痛がくるとついついストレッチしたくなりますが、効果のほどは如何なのでしょうか?
オーストラリアで2000人以上を対象に行った研究では、ストレッチの筋肉痛に与える効果を測定しました(2)。
そしてなんと・・・
エクササイズから1日後の筋肉痛の軽減度合いは、平均でたったこれだけでした。
・運動前にストレッチを行ったグループ:0.5%
・運動後にストレッチを行ったグループ:1%
・運動前後にストレッチを行ったグループ:4%
残念ながら、この研究では臨床的に重要な効果はないと結論づけています。
この研究では、筋肉を一つの方向に数十秒間伸ばす「静的ストレッチ」と、アイソメトリックな動きと静的ストレッチを組み合わせた「PNFストレッチ」をテストしていますが、両方とも筋肉痛には大きな効果がありませんでした。
ストレッチは柔軟性を高めて、動きを良くしたり、ケガを予防したりするには効果的ですが、筋肉痛は良くならないようです。
むしろ、すでに傷がついている筋肉を無理に伸ばしてしまうと、さらに筋肉痛を悪化させることになりかねません。
筋肉痛にはストレッチよりも筋膜リリース
実は、ストレッチよりも筋膜リリースの方が筋肉痛には効果的です。
そもそも筋膜リリースって何?という方もいらっしゃるかもしれませんので、まずはその話をしたいと思います。
筋膜とは?
筋膜とは、筋肉や腱を包み込んでいる膜のことです。よく解剖学の本などでは、赤い筋肉がむき出しになっている絵が使われていますよね。しかし、実際のところ私たちの筋肉は、ボディスーツのような筋膜に覆われています。
鶏肉を調理したことがあれば、白やクリーム色の膜が付いていることがあります。それが筋膜です。または、みかんの薄皮のようなものともいえます。私たちの筋肉も、そんな薄皮に覆われています。
筋膜が固まると、 筋肉の動きが制限されてきてしまいます。そして、体が硬く、凝り固まってしまいます。放っておくと筋肉はどんどん柔軟性を失い、運動のパフォーマンスが落ち、ケガもしやすくなってしまいます。
また、固まっている場所には十分に血流が巡らず、酸素や栄養が行き届きにくくなります。筋肉痛を回復させるためには、酸素や栄養素が必要ですから、これも筋肉痛を悪化させる原因の一つになります。
筋膜リリースって何?
筋膜リリースとは、一般的にはフォームローラーやテニスボールを使って圧をかけ、リズムよく動かしていく方法のことをいいます。セルフマッサージのようなものといえます。
ストレッチは1つの方向に20~30秒程度伸ばすものですが、筋膜リリースは長めの時間をかけて、多方向に走る筋膜をほぐしていきます。
臨床的にも筋肉痛に効果のある筋膜リリース
カナダのある大学がおこなった研究では、被験者に若干キツめの筋トレ(1RM60%のバーベルスクワット10回×10セット)をしてもらいました(3)。
そして、トレーニングの
・直後
・24時間後
・48時間後
にそれぞれ20分間、フォームローラーを使った筋膜リリースをしてもらったところ、大幅な筋肉痛の軽減がみられたそうです。
20分間の筋膜リリース×3というとそれだけで運動になりそうですね。
この研究では、下半身の5箇所の筋肉(大腿四頭筋、内転筋、ハムストリングス、ITバンド、臀筋群)を45秒ずつリリースし、15秒休憩を挟んでいます。
左右2セットずつで、計20分間になります。
筋膜リリースはしっかりおこなうと汗がにじんできますので、トレーニングの一環として組み込んでみてもいいかもしれませんね。
まとめ
筋トレをした後にはストレッチをしたくなりがちですが、トレーニングで傷つけられた筋肉を過度に伸ばしてしまうと、筋肉痛を悪化させるおそれがあります。
ストレッチはあくまでも柔軟性を高め、可動域を広げるためのトレーニングとして行い、筋肉痛対策としては筋膜リリースを取り入れると良いでしょう。
フォームローラーといったらハイローラーがおすすめ
フォームローラーには色々な種類がありますが、脚付きのものはハイローラーだけです。
脚の高さも調整できるので、片方は短く、もう片方は長く、なんて使い方もできます。
これをすると、なにせITバンド(脚の外側)のリリースがやりやすい。とてもおすすめです。
1.Gatorade Sports Science Institute.EFFECTS OF EXERCISE ON IMMUNE FUNCTION
2. The George Institute for Global Health(2011). Stretching to prevent or reduce muscle soreness after exercise
3. Memorial University of Newfoundland(2015). Foam rolling for delayed-onset muscle soreness and recovery of dynamic performance measures.