妊娠初期にプランクしてもいいの?妊娠中プランクをして焦ってしまった妊婦さんはこれ読んで【妊娠中専門トレーナー監修】

妊娠中にプランクしてもいいの? 妊娠・出産

普段通り筋トレをしていたら、妊娠発覚!
急に赤ちゃんのことが心配になってしまった!

または、安定期に入って運動を始めようかと思っているけど、プランクのようなお腹のトレーニングをしてもいいの?!

そう不安になって検索して、この記事を見つけてくださった妊婦さんのために、この記事を書いています。

こんにちは、妊娠中&産後専門のフィットネストレーナーをしているYUMIです。

この記事では、妊娠初期を含む妊娠中にプランクをしてもいいのかどうか?プランクなどの「腹圧」をかける筋トレが赤ちゃんにどのように影響していくのか?といった点を解説していきます。

妊娠中にプランクを含む運動をしてもいいの?

妊娠中にプランクを含む運動をしてもいいの?

普段通りプランクなどの腹筋を鍛えるエクササイズをしていて、妊娠が発覚したら、急に赤ちゃんのことが心配になってしまいますよね。

そもそも、妊娠中には運動はしてもいいのでしょうか?

妊娠中の運動については、アメリカ産婦人科学会(ACOG)の出している妊娠中の運動ガイドラインが権威あるソースとされています。

帝王切開の仕方から産後の過ごし方まで、産前産後にまつわるさまざまな方針がACOGガイドラインに定められており、医師や助産婦、その他医療業界に従事するプロたちがこれを参考にしています。

ACOGのガイドラインによると、原則として運動を許可されている妊婦さんは運動を「したほうがいい」と勧めています[1]。妊娠中は運動を「してもいい」ではなく「したほうがいい」といっているんですね。

妊娠中の運動には、たくさんのメリットがあります。

・体力の低下を防ぐ
・体重が増えすぎるのを防ぐ
・妊娠糖尿病の予防
・精神の安定
・腰痛の予防・軽減

運動を許可されたら、自信を持って運動を楽しんでくださいね!

妊娠中に運動をする際は、まず以下の点に注意

妊娠が発覚後、運動を始める前に、まず医師に運動の許可を取りましょう

もし、検診前に運動をしたい「妊娠超初期」の場合については、以下の投稿にまとめましたので、参考にしてみてください。

その他、ACOGの妊娠中の運動ガイドラインについては、以下に詳しく説明しています。

妊娠中にプランクを含む運動をしたら、流産してしまう?

妊娠中の腹筋と流産

プランクのようにお腹に力をかける筋トレは「赤ちゃんが苦しいのではないか?」「腹圧がかかってよくないのではないか?」と思われがちです。

しかし、一般的な健康目的の運動と流産の関係性は、科学的に証明されていません。

ある古い研究では、「アスリート並みに週7時間以上の高強度トレーニングを行っていた女性は、妊娠超初期の流産リスクがわずかに高まった」と報告されています[2]。

しかし、これはアスリート並みに鍛えている場合のケースであって、健康目的での運動には当てはまりません。

また、2023年に発表された3,728人の妊婦さんを対象にした研究では、「低〜中程度の運動であれば、流産リスクは上がらない」と明確に述べられています[3]。

運動と流産の関係性についても、こちらの記事にて詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

結局のところ、妊娠中にプランクはしてもいいの?

全くダメということはありません。

以下の条件をクリアしている場合、プランク*は続けることができます。
*手足を伸ばして行うフルプランク

1.医師から運動を許可されている
2.妊娠前からこういった筋トレを行っていた
3.妊娠初期である(お腹が骨盤から出てくる妊娠14週くらいまで)

以上3つに該当しない場合は、注意と調整が必要です。

また、妊娠中&産後トレーナーとしては、妊娠中にフルプランクが必要かどうか問われたら「必要ない」と答えます。

この先、詳しく説明していきます。

妊娠中はいつまでプランクしていいの?

妊娠初期は、赤ちゃんの大きさがまだ骨盤におさまるため、プランクをしても問題ないといわれています。

しかし、中期を過ぎると、プランクのようにお腹を下向きでおこなう筋トレは、お腹がぶら下がっているような、皮膚が引きつるような感覚が出てくる可能性があります。

このため、妊娠中期以降もプランクを行いたい場合、床で行うフルプランクではなく、傾斜をかけて調整していくことをおすすめします。

詳しい調整方法についてはこの次、説明していきます。

プランクは腹直筋離開を悪化させる?

腹直筋離開の図 妊娠中・産後に起こる腹直筋離開って何?放っておくとどうなるの?

妊娠中にプランクが必要ないもう一つの理由は、「腹直筋離開」と関係しています。

「腹直筋離開」は、妊娠中にお腹の筋肉を鍛えるにあたって、知っておきたいことです。

プランクは腹筋の中でも「腹直筋」をターゲットにした筋トレです。妊娠中期を過ぎると、腹直筋の間にある「白線」がのびていきます。白線の間に距離が空いていたり、弱くなっている状態のことを「腹直筋離開」とよびます。

「白線」は骨でも筋肉でもなく、結合組織です。白線がのびていくと、いわゆるメッシュのような状態になります。安定感がなくなるんですね。

「腹直筋離開」が発症すると、人によっては腹圧がうまくかけられなくなることから、別の部分にプレッシャーがかかり、腰痛や骨盤まわりの痛みの原因につながることがあります。

しかし「腹直筋離開」は、ほとんどの妊婦さんが経験するもので、何の症状なく産後数週間で治ってしまう人が大半といわれています。

プランクが腹直筋離開を悪化させるかどうかについては、様々な見解があります。

2022年の研究では、プランクを行った女性の67.7%において、腹直筋離開に改善がみられたと報告されています。しかし、これは産後の女性を対象に行った研究であり、妊娠中とはまたケースが異なります[4]。

プランクは腹直筋離開を悪化させる可能性があると主張している専門家もいます[5,6]。例えば、こんな場合に、プランクは腹直筋離開を悪化させることがあるようです。

  • 腹横筋が弱いのにプランクを行った場合
  • ドーミングをしてしまっている場合(腹横筋を締めずに腹直筋を締めた時、お腹の真ん中が山のように盛り上がる状態)
  • 呼吸を止めてしまっている場合

▼ドーミングの例
ドーミング

出展:Mamamadestrong.com

プランクは、自分ではできているようでも、意外と正しいテクニックで行うのが難しい筋トレです。また、腹直筋離開を悪化させるという見解もあります。このことから、「プランク」は妊娠中には積極的におこなわなくても良い筋トレといえます。

実際、私の妊娠中の運動プログラムにおいても、プランクはほとんど入れていません。妊娠中には妊娠中に合った体幹の鍛え方があるからです。

妊娠中にはバリバリの「腹直筋」をターゲットにした筋トレよりも、インナーマッスルの「腹横筋」や、体側の「腹斜筋」、そして体幹全体を動かすような腹筋エクササイズをすることをおすすめします。

妊娠中の腹筋の鍛え方については、こちらの投稿に詳しくまとめています。

腹直筋離開やドーミングについて詳しくは、こちらを読んでみてください。

妊娠中期以降にプランクを行う場合は「やさしいバージョン」を

赤ちゃんの大きさが骨盤を越え、お腹が目立ってくる妊娠中期頃からは、プランクを行う際は「やさしいバージョン」に切り替えていきましょう。

やさしいバージョン1:椅子やソファでおこなう

難易度:★★★☆☆
時期:妊娠初期後半~中期

やり方:
①椅子やソファに手を置きます。手は肩の真下に来るようにします。
②脚を後ろにまっすぐ伸ばします。肩からくるぶしまでを一直線にし、お尻が出たり腰が反れないように気を付けます。
③深呼吸をしながら、3~5呼吸キープしましょう。

妊娠中のプランク 椅子付きプランク

やさしいバージョン2:壁付きでおこなう

難易度:★★☆☆☆
時期:妊娠中期~妊娠後期

やり方:
①壁に手をつきます。手は肩から一直線に来るようにします。
②脚を後ろにまっすぐ伸ばします。肩からくるぶしまでを一直線にし、お尻が出たり腰が反れないように気を付けます。
③深呼吸をしながら、3~5呼吸キープしましょう。

※傾斜の度合いは、体の声を聴きながら調整しましょう。傾斜をつければつけるほど、強度が上がります。

妊娠中のプランク 壁付きプランク

最後に

もし妊娠初期にプランクをしてしまっても、焦らないで大丈夫です。

運動を許可されている妊婦さんであれば、プランクは妊娠初期に行っても安全なエクササイズといえます。

ただし、中期以降に行う場合は「やさしいバージョン」に切り替えましょう。また、腹直筋だけではなく、腹横筋を鍛えられる筋トレも取り入れていくことをおすすめします。

運動自体は妊婦さんにとっても赤ちゃんにとっても、すごく良いもの。運動すると決めたら、自信を持って「自分はいいことをしている!」と思って動いてくださいね。

自信を持ってと言われても…自分が赤ちゃんにとって良くないことをしてしまっているのではないかと不安…そんな方は「妊婦さんの筋トレガイド」をダウンロードしてみてください。

または、妊娠中・産後の方向けのオンラインプログラム「The Best Shapeマタニティ&リペア」をチェックしてみてくださいね。

妊娠中もぜひ筋トレを楽しんで、元気な赤ちゃんを産んでくださることを願っています!

▶妊婦さんの筋トレガイド
▶The Best Shapeマタニティ&リペア

<参考文献>
1. The American College of Obstetricians and Gynecologists. (2015, reaffirmed 2019) Physical Activity and Exercise During Pregnancy and the Postpartum Period
2. Lindsey M. Russo, 他. Physical activity and incidence of subclinical and clinical pregnancy loss: a secondary analysis in the effects of aspirin in gestation and reproduction randomized trial
3. Rubén Barakat, 他. Influence of Physical Activity during Pregnancy on Maternal Hypertensive Disorders: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials.
4. Universitas Kristen Indonesia. Effect Of Plank Exercise On Diastasis Recti Abdominis Below Umbilicus In Postpartum Women
5. Fit2B. Can I Do Planks if I Have Diastasis Recti?
6.Biology Insights. Are Planks Bad for Diastasis Recti?

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