筋トレを始めるには皆それぞれ色々な目的があると思いますが、ダイエットのためとか、引き締まった体を作りたいから、という理由が多いかと思います。
でも、筋トレってそれだけじゃないんです。
筋トレをすると、やる気がみなぎったり、若返ったり、質の良い睡眠ができたり。
そんなホルモンが分泌されると知ったら、もっと筋トレに気合が入りませんか?
世の中には色々なスポーツがありますが、筋トレほど効率よく有益なホルモンを出せる運動は存在しないといっても過言ではありません。
筋トレのすごいところは、テストステロンや成長ホルモン(HGH)など、やる気や若返りに必要なホルモンの分泌を促せる点です。これはランニングなどの有酸素運動では実現できないことです。
テストステロンやHGHは、「アナボリック」なホルモンです。アナボリックとは、細胞を合成している状態のこと。つまり、新しい細胞を作ったり修復している状態です。
一方で、アナボリックの反対のことを「カタボリック」といいます。カタボリックは、細胞を分解して他の物質に変換している状態のことです。いわゆるカタボリックなホルモンは、コルチゾールやアドレナリンです。
今回の記事では、筋トレにまつわるホルモンと、どんな筋トレをどれくらいしたら有益なホルモンが出せるのか、などについてみていきましょう。
筋トレのホルモン的なメリットとは?
筋トレではアナボリックなホルモンを出すことができると書きました。ランニングなどの長時間にわたる有酸素運動では、コルチゾールなどのカタボリックなホルモンが分泌されてしまいます。そうすると、筋肉をつけるどころか筋肉を分解してエネルギーとして使ってしまうのです。
効率よく筋肉をつけるには、体をカタボリックではなくアナボリックな状態に持っていきたいところです。
まずは、代表的なアナボリックホルモンである「テストステロン」と「成長ホルモン(HGH)」についてみていきましょう。
テストステロンって何?
強度の高い筋トレは、テストステロンの分泌を促すことができます。
テストステロンは男性ホルモンの一種で、こんな働きをします。
テストステロンの働き・赤血球をつくる
・筋肉の合成を促す
・骨を強化する
・性欲を湧き立てる
・やる気を出す
・気分の向上
・記憶力の向上
男性ホルモンだから女性には関係ないと思われがちですが、テストステロンは女性でも一定量必要です。多すぎるとニキビや男性型のハゲなどにつながってしまいますが、適量のテストステロンは気分を安定させ、やる気を出し、性欲をもたらしてくれます。
ただし、女性よりも男性の方が筋トレでテストステロンがたくさん出やすいことがわかっています。
成長ホルモン(HGH/human growth hormone)って何?
成長ホルモンといえば成長期に爆発的に増えるホルモンですが、大人になってからも適量分泌されます。
HGHの主な働きとしては、こんなものがあります。
HGHの働き・筋肉量を増やす
・タンパク質の合成を促す
・脂肪を分解する
・免疫機能を刺激する
要するに新しい細胞をつくり、古い細胞を修復するので、若返りの効果が期待できるホルモンなのです。
HGHは中年以降、分泌が激減するので、筋トレをして分泌量を増やしてあげたいところです。
どんな筋トレをしたらテストステロンとHGHの分泌を最大化できる?
どんな筋トレでもテストステロンとHGHを分泌できるというわけではなく、ホルモン的なメリットを享受するには強度の高い筋トレをする必要があります。
個人差や性別差はありますが、コネチカット大学の研究によると、この2つのホルモンを分泌できる条件として共通するのは、以下です。
・中~高度の強度のもの
・回数、セット数は多め
・セット間の休憩時間は短く
モデルケースとしては、こんなメニューでテストステロンとHGHアップを期待できます。
※1RM=1回持ちあがるくらいの負荷
- 1RMの80~85%の負荷でのスクワットを10回×6セット、セット間の休憩は2分
- 1RMの70%の負荷でのスクワットを10回×10セット
- 1RMの80%の負荷で、4種類の筋トレを3セット、セット間の休憩は2分
メニューとしては、大殿筋、大腿四頭筋、大胸筋などの大きい筋肉を鍛える
- スクワット
- デッドリフト
- ベンチプレス
等を、高負荷でおこなうことが求められます。
ホルモン的なメリットを最大限にするには、ウェイトを使った筋トレの方が効率が良いです。
自重トレーニングでも、ゆっくりおこなうことで、ある程度強度を上げることができます。ジャンプスクワットや腕立て伏せなどを、10回以上繰り返せないくらいのゆっくりめな速度でおこなうとよいでしょう。
腕立てやスクワットをどんなにゆっくりしても10回以上余裕でできてしまう人は、片足のスクワット、片腕の腕立てにチャレンジしてみてください。大分強度が上がりますよ!
筋トレでは「気持ちいい」ホルモンのβ-エンドルフィンも分泌できる
β-エンドルフィンは、「気持ちいい」という感覚をもたらしてくれるホルモンです。気分の安定や集中力の向上、痛みを静める効果があります。
分子構造がモルヒネや抗不安剤に似ていることから、自然の痛み止めとして機能します。
「ランナーズハイ」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、それはこのβ-エンドルフィンが出ている状態のことをいいます。
ただしランニングの場合、長時間走り続けないとβ-エンドルフィンを分泌させることができません。β-エンドルフィンが出てくるのは、走り始めて45分~1時間後といわれています。
一方で、筋トレならもっと短時間の集中的なメニューでβ-エンドルフィンの効果が期待できます。
米軍のある研究機関が行ったリサーチによると、β-エンドルフィンを最も分泌できるのは、やはり
- 中強度
- 回数、セット数は多め
- 短いセット間の休憩
の筋トレとのこと。
一方で、
- 高強度
- 少ない回数&セット数
- 長いセット間の休憩
のトレーニングでは、あまりβ-エンドルフィンは分泌されないことが分かっています。
パワーリフター系の筋トレよりも、ボディービルダー系の筋トレの方が、β-エンドルフィンのメリットを味わえるようです。
まとめ
筋トレには有酸素運動では味わえないようなホルモン的なメリットが盛りだくさんということが分かりました。若々しく、やる気みなぎった人間になりたければ、やはり筋トレですね!
そんなホルモン分泌を最大限にするには、大きい筋肉を、中~高度の強度で、高セット数で鍛えること。そして、セット間の休憩時間は1~2分程度にすることが理想です。
結構キツい筋トレをしなきゃいけないのか・・・と思うかもしれませんが、ここであきらめないでください!
筋トレをすれば、高価なアンチエイジングクリームが不要になるだけではなく、疲れにくくなったり、精神的にもストレスに強くなったりと、数え切れないメリットがあります。
▼私が実感した筋トレのメリットについて詳しくはこちら
女性はウェイトトレーニングと聞くと、「脚が太くなりそう」とか「ムキムキになりそう」とか敬遠しがちですが、女性には女性ホルモンというものが存在するので、そう簡単に筋トレでムキムキにはなれません。
筋トレで脚が太くなるのは、筋トレのせいではなく、炭水化物中心の食事が原因です。
朝ごはんに食べているパンや、おやつに食べているドーナツ、マフィン、ケーキ、クッキー、チョコレートの仕業ですよ!!
きちんとたんぱく質を摂って筋トレをすれば、むしろ脚は引き締まり、浮腫みにくくなります。
ということで、もっと筋トレをして若々しく元気いっぱいの人間を目指しましょう!
Healthline. How Testosterone Benefits Your Body
Wikipedia. Growth hormone
Dr. Axe. What Are Endorphins?
Kraemer, et al, University of Connecticut. Hormonal Responses and Adaptations to Resistance Exercise and Training
Allan H Goldfarb, et al. Beta-endorphin response to exercise. An update
Schwarz L, et al. University of Saarland. Changes in beta-endorphin levels in response to aerobic and anaerobic exercise.