こんにちは!ヘルスコーチのYUMI (@yumiid/@you_me314)です。
ソイフリーって聞いたことありますか?
ソイといえば日本に古くから伝わる健康食・大豆ですよね。でもそれが今や世界では「ソイフリー」製品があふれています。
日本ではソイといえば健康なイメージなのに、なぜ海外ではソイを避けたがる人が増えてきているんでしょうか?
世界の健康オタクの中ではソイフリーが常識になりつつあるほど認知されているのに、日本では全くといっていいほど認知されていません。何かの陰謀じゃないかと思うほど。
ということで今回の記事では、ソイフリーについて問題提起してみようと思います。
イソフラボンのデメリットや遺伝子組み換え大豆の害、ホルモンへの影響などを見て行きます。
大豆って健康食じゃないの?ソイの問題点とは
数多くの研究で、大豆加工品の過剰摂取は栄養不足、甲状腺機能の異常、消化不良、認知力低下、生殖機能異常、免疫系へのダメージ、心臓病や癌などに関連があるということが分かっています。それに伴い、海外ではソイフリーが多くの人に好まれるようになってきています。
色々な問題があるとされるなか、日本でもある程度認知されているのは、この2つと認識しています。
1.反栄要素問題
2.遺伝子組み換え問題
そして、日本ではあまり聞かれないけど海外で問題視されているのが、この2つです。
3.アレルギー問題
4.イソフラボンのフィトエストロゲン問題
今回の記事では、この4つの問題について見て行きたいと思います。
1.反栄要素問題
反栄養素とは、栄養の吸収を妨げてしまうものです。大豆に含まれている反栄要素で、最もメジャーなものは、フィチン酸です。
フィチン酸とは、植物がリン酸を蓄えてたんぱく質を合成するために自然界に存在するものです。大豆以外にも、多くの豆類や穀物、種などに含まれていますが、大豆には比較的に高濃度で含まれています。フィチン酸が問題になるのは、特定のミネラルの吸収を阻害するからです。
・カルシウム
・鉄
・亜鉛
・マグネシウム
・銅
・リン酸
ちなみに、ゆっくり発酵された大豆製品からはフィチン酸はほとんど取り除かれています。
なので味噌、納豆、醤油、テンペなどに関してはほとんど問題ないとされていますが、豆乳や豆腐など発酵されていない大豆製品には存在します。
大豆など豆類を調理する前には、24時間水につけてフィチン酸を取り除く必要があります。ただ、大量生産されている豆乳などでは、水につけたはいいものの、その水をそのまま豆乳を作るのに使っていることがあります。また、日本で親しまれている大豆や豆腐は発酵されていないので、フィチン酸はかなりの確率で残ってしまいます。
豆乳を愛飲していて貧血気味、という人は注意が必要かもしれませんね。
その他、大豆には甲状腺の働きに干渉するゴイドロゲンや、トリプシンなどの消化酵素の働きをブロックする酵素阻害物質(トリプシンインヒビター)が含まれています。
こういった酵素阻害物質により、消化不良に陥ったり、たんぱく質の吸収が阻害されたり、慢性的なアミノ酸不足になることがあります。
2.遺伝子組み換え(GM)問題
メディアにもよく取り上げられる話題なので、「遺伝子組み換え食品(GM)」と聞くと何となく体に悪いイメージがありますね。
2016年の農林水産省の統計によると、日本の大豆の約70%が米国から輸入されています。米国で生産される大豆の94%は遺伝子組み換えです。米国では、ヨーロッパなどより規制が緩く、遺伝子組み換え表示が義務付けられていません。私たちがお店で目にする大豆加工品も、「遺伝子組み換え大豆不使用」というラベルがない限り、遺伝子組み換えのものが使われていると思っていいでしょう。
遺伝子組み換え食品(GM)は体に害はないという専門家もいる中、アレルギーや中毒など、特定しにくい疾患の原因になるという見方もあります。GM食品が私たちの食卓に上がるようになってまだ数十年程度なので、長期にわたっての影響はまだ研究足らずな部分があるようです。
それでも、動物実験でわかっているGM大豆の影響としては、こんなものがあります。
・GM大豆を与えられたラットの睾丸は変色し、細胞構造に変化が見られ、精子の生成に影響があった
・妊娠2週間前からGM大豆を与えられたラットから生まれた子供は、50%が3週間以内に死亡。一方で、GMではない大豆を与えられたラットから生まれた子供の死亡率は10%以下
また、モンサント社の調査では、反栄養素の部分でふれたトリプシンインヒビターは、GM大豆だと7倍多かったとのこと。GMではない大豆のトリプシンインヒビターの多くは、熱を加えると分解されますが、GM大豆では分解されなかったようです。
まだまだはっきりとした実証に欠けるGM問題ではありますが、大豆加工品の摂りすぎにはこういったリスクもあるということは認識しておいて損はないと思います。
3.アレルギー
乳製品やピーナッツアレルギーはよく聞きますが、大豆アレルギーというものも存在します。大豆たんぱくによって引き起こされるアレルギーで、症状としては以下のようなものがあります。
・蕁麻疹や発心
・口内のかゆみ
・吐き気、嘔吐、下痢
・鼻水、鼻づまり
・ぜんそく様の症状
米国アレルギー・ぜん息&免疫学会(ACAAI)によると、特に乳児や幼児に多く見られ、10歳くらいまでには完治してしまうケースが多いようです。
大豆製品全てにアレルギー反応を起こすケースと、発酵されていない大豆製品でアレルギーを起こすケースがあります。うちの旦那は後者なのでソイラテを飲むと死にそうになります(汗)。
乳製品や卵、ピーナッツアレルギーほど認知されていない大豆アレルギーなので、気付かずただのアレルギー性鼻炎だと思っている大人も多いかもしれません。
症状が起こるには必ず何かのトリガー(引き金)となる食べ物や行動があるはずなので、何をした後に症状が起こるか、自分を観察してみると良いかもしれません。疑いがある場合は、迷わずフードアレルギーテストを受けてくださいね!
4.イソフラボンのフィトエストロゲン問題
イソフラボンというと女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをすることから、健康食のイメージが強いですよね。
更年期の女性に向けたイソフラボンのサプリメントや、色々な健康食品に「イソフラボン配合で女性ホルモンアップ!」と書いてあると、何となく体にいい感じがしてしまいます。
イソフラボンとはフィトエストロゲン(植物エストロゲン・ファイトエストロゲン)と呼ばれ、多くの植物に自然に含まれているものです。フィトエストロゲンは、植物が害虫などから身を守るために、自然の農薬として植物の体内で作られます。
この記事で農薬がエストロゲンと似た働きをすると書きましたが、エストロゲン様の働きをする環境ホルモン(ゼノエストロゲン)は私たちの生活の周りに溢れていて、日用品やプラスチックなどにも含まれています。その中でも植物に自然に含まれているものを、フィトエストロゲンと言います。
フィトエストロゲンは、化学構造が私たちの体の中にある女性ホルモンのエストロゲンと酷似しているため、エストロゲン受容体(レセプター)と結合し、エストロゲン様の動きをします。
このため、女性ホルモンが足りていない人にとっては有益と信じられ、積極的に摂るようにメディアや企業ではうたわれています。事実、乳がんや骨粗しょう症に効果があるという研究もあります。
一方で、フィトエストロゲンのデメリットについては、日本ではほとんど認知されていません。
女性ホルモンといってもエストロゲンだけではなく、黄体ホルモン(プロゲステロン)やエストラジオールなど色々なものがあります。ひとえにエストロゲンだけが増えすぎても、体内のホルモンバランスを崩してしまい、色々な疾患につながってしまうのです。
例えば、フィトエストロゲンが排卵を阻害し、乳がん細胞の成長を刺激することがあるとする研究もあります。また、38mg以下(豆乳1杯以下)のイソフラボンの摂取でも甲状腺機能低下症につながり、無気力感や便秘、疲労感や体重増加と関連しているという情報もあります。
イソフラボンを始めとするフィトエストロゲン・ゼノエストロゲンが体内に増えることにより、月経周期が伸びたり、無月経や不妊、甲状腺疾患や肝臓病、早熟(月経が早く始まってしまうなど)といった様々な異常につながります。
また、男性も例外ではありません。男性のおっぱいが大きくなってしまったり、精子の数や質に問題が出るのも、フィトエストロゲン・ゼノエストロゲンの増加が影響しているといわれています。
私は思春期くらいからずっとPMS(生理前症候群)に悩まされていましたが、エストロゲンが増えすぎることはPMSにも関係しています。
正常な月経サイクルでは、月経周期の前半にはエストロゲンが高まり、排卵後に黄体ホルモン(プロゲステロン)が優位になる必要があります。ただし、エストロゲンが常に高い状態にあると、黄体ホルモンが高まりません。この状態を「エストロゲン・ドミナンス」と言い、PMSの原因の一つであるとされています。
多くの日本語のオンラインサイトでは、「PMSの改善には、女性ホルモンをアップさせること!大豆イソフラボンが効果的♡」なんて情報が流布していますが、何の根拠もありません。今すぐやめてください。PMSの原因の多くは、同じ女性ホルモンでも黄体ホルモンが不足することから来ます。アップすべき女性ホルモンが間違っています。
英語が読める方は、Dr.Sarah GottfriedのThe Hormone Cureという本がおすすめです。
日本政府の推奨する安全なイソフラボン摂取量とは
イソフラボンの影響はめったに報道されないだけで、日本の政府としては害になりうるということも認識した上で、研究を進めているようです。
内閣府の食品安全委員会は、イソフラボンの一日摂取目安量を70~75 mg/日としています。
ただし、大豆製品の種類や製法によってイソフラボンの含有量はばらつきがあるので、単純に計算するのは難しいようです。
食品安全委員会の出している表を目安にしてみてください。
食品名 | 含有量 | 平均含有量 |
---|---|---|
大豆 | 88.3~207.7 | 140.4 |
煮大豆 | 69.0~74.7 | 72.1 |
豆腐 | 17.1~24.3 | 20.3 |
おから | 10.5 | 10.5 |
納豆 | 65.6~81.3 | 73.5 |
味噌 | 12.8~81.4 | 49.7 |
醤油 | 1.0~1.7 | 0.9 |
豆乳 | 7.6 ~59.4 | 24.8 |
ちなみに納豆1パックは50g、お味噌汁1杯は大体15~20gなので、イソフラボンの量としては46.69gです。醤油はイソフラボンの含有量が低いので、毎日納豆1パック、味噌汁一杯、調味料に醤油、くらいなら、さほど気にすることはないかもしれませんね。もっとも、個人差はありますが。
なぜイソフラボン過剰摂取のリスクが認知されていないのか
2008年に、男性がイソフラボンを摂りすぎると精子の量が減る、という研究が出ました。動物ではなく人間を対象にした過去最大の研究結果であるにもかかわらず、日本のメディアではあまり報道されず、遡って調べてもWebメディアで報道しているのはロイターだけでした。
これは陰謀論も一理あるのでは?と私は思っています。食品メーカーはもはや大豆に頼らずに加工品を作ることが難しくなっており、成分表示に「大豆」と書かれていなくても、油や成分として、名前を変えて色々な加工品に潜り込んでいます。食品メーカーだけではなく、化粧品、日用品、製薬にも大豆の成分は広く使われています。
こういった企業からスポンサーを受けているメディアは、大豆が体に害であると大々的に報道することはできないのです。
大豆が不妊や癌の原因になりうる、といったことが大衆に知れ渡ったとしたら、大混乱です。大豆信仰の強い日本では特に。大豆不買運動が起こり、多くの会社の業績がダメージを受けるかもしれません。
小麦や白砂糖の害が大衆に認知されないのも、同じ理由があると思います。
つい数十年前は新聞、ラジオ、テレビしかメディアがなかったのに、今やインターネット上にWebメディアや無料のウェブサイトがあふれています。でもこれらのメディアが運営できるのは、スポンサーがいるからです。
「大豆が体にいい!」とうたっているサイトや記事の後半には、イソフラボンのサプリメントなど大豆製品のリンクが貼ってあったりしませんか?
有益な情報を発信する代わりに、商品の購買につなげたいのです。
これはあなたをだまそうとしているのではなく、メディアが性質としてそういうものだということを知っておく必要があります。あなたがタダで情報を得る代わりに、メディア運営を続けるためには、運営側は誰かからかお金をもらわなければ成り立ちません。
ということで、どんな情報でも鵜呑みにするのはいけません。このサイトを含め(笑)。
情報があふれかえる今の世の中、情報発信者の背景にはどんな動機があるのか見極めて、それを信じるか信じないか判断する教養(リテラシー)が必要です。
「こわい」と敬遠するのではなく、メディアとはそういうものだと知り、うまく活用していくのが現代を賢く生きていく知恵です。
このサイトではそれを伝えたくて、私は記事を書き続けています。
話が脇にずれましたが、まとめに入っていきましょう。
で、結局どうしたらいいん?
大豆製品は日本人が昔から慣れ親しんできたもの。健康食品というイメージが強いので、大豆に害があるというのはちょっと受け入れがたい事実かもしれません。
私としても、味噌や醤油のように調味料として使うもの、毎日適量の納豆や豆腐は神経質になる必要はないと思っています。
でも健康的だからといってなんでも大豆に置き換え、はちょっと考え直した方がいいのではないでしょうか。
なんでも豆乳、なんでもおから、なんでも大豆粉に置き換えにはリスクがあります。
日本の食品安全委員会や海外の研究機関の多くも、大豆食品を食べるなら反栄養素やアレルゲンの低い発酵食品を、「適量」食べることを推奨しています。
豆乳、ソイラテ、ソイヨーグルト、ソイミート、ソイプロテイン、ソイチーズ、大豆油、イソフラボンのサプリメントなど、昔から日本人が食べたり飲んだりしていないものを摂りすぎていないでしょうか。
女性の場合、それが自分の月経サイクルに影響していないか見直してみましょう。
もし月経の遅れや早まり、PMSや不妊など気になるところがある場合は、大豆製品を3か月ほど抜いてみてください。それで症状が改善するようだったら、大豆の摂取が症状に関与していることが考えられます。
私はこれを読んでいるあなたを「大豆って危ないの?!きゃー全部避けなきゃ!」とパニックに陥らせようと思って、記事を書いているのではありません。
思い当たる症状と思い当たる摂取量がある場合は、減らしてみるか抜いてみる価値があるのでは、と提案しています。そして、数週間~数か月様子を見てみてはいかがでしょうか。
前述のとおり、ソイ以外にもエストロゲン様の動きをする成分は農薬や化粧品、プラスチックなどに含まれており、完全に接触しないようにするのは難しいです。
こう書いておきながら、私も味噌汁や納豆や醤油を食べるのをやめることはないと思います。私は特に今のところ改善しなきゃいけない健康問題はないし、過剰摂取しなければ大豆の発酵食品には健康メリットがあることも事実ですから。
ただ、反栄養素は避けたいので、豆乳は飲まないし、ソイプロテインやソイヨーグルトには手を出しません。豆腐はたまにたしなむ程度にしています。
以前は毎朝ソイプロテインを飲んで、昼間はソイラテ、毎晩湯豆腐を食べて、健康と思っていました。でもその時にPMSが重症を極めていて、貧血ぎみだったのも、今思うと言わずもがなといった感じです。昔の自分に教えてあげたいです。
昔の自分のような状況の人が、この記事にたどり着いてくれることを願いつつ、書いてみました。
ゼロか100かではなく、自分の体の声を聴きつつ、口に入れるものや肌につけるものを調整していってみてください。
ではでは、大豆との付き合い方を見直して、もっともっと健康に!
内閣府食品安全委員会. 大豆イソフラボンの摂り過ぎに注意
Dr.Axe. 10 Antinutrients to Get Out of Your Diet … and Life
Institute For Responsible Technology. The Health Risks of Genetically Modified Foods
e-Stat. 2016年農林水産物輸出入統計
American College of Allergy, Asthma & Immunology. Soy Allergy
Chris Kresser. The Soy Ploy
National Institute of Environmental Health Sciences. Adult Ovarian Function Can Be Affected by High Levels of Soy
Montclair State University. Dietary Isoflavones and Breast Cancer Risk
Ewha Womans University. Effect of soy isoflavones on the growth of human breast tumors: findings from preclinical studies
Oxford Academic. Soy food and isoflavone intake in relation to semen quality parameters among men from an infertility clinic
厚生労働省. 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A
農林水産省. 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A
Reuters. 大豆製品の食べ過ぎ、精子の数を減らす可能性=米調査