皆さんは、不安や心配事に心を悩ませることはありますか?
不安を感じやすいというのは、性格的にそうなのだと思いがちですね。ですが、実はそれだけの問題じゃないんです。
私もストレスがたまると不安感が出やすい人間です。そんな自分のことを「そういう性格なんだ」「心配性なんだ」と思っていました。しかし、体と脳について学んでいけばいくほど、そうではないということが分かってきました。
不安感は「症状」である
過度の不安感というのは、性格なのではありません。不安感は「症状」なのです。
つまり、風邪でいう「鼻水」と同じ。一時的で一過性のものと捉える事もできます。
一方で、慢性的に起こる不安感は「不安障害」や「不安症」といった精神疾患の一つとしても捉えられます。米国では10人に3人が不安障害の症状を訴えています(1)。
不安障害にはパニック障害や高所恐怖症などのよく知られるものから、言葉にならないけど逃げられないようなぼんやりした不安感というものもあります。
何でも病名をつければいいというものではないですが、不安感はただの性格でもストレスでもなく、海外では治療の対象となっているものなのだ、ということを知ってもらいたいのです。
不安感が押し寄せた時の体の状態をチェックしよう
私の場合、不安感が押し寄せるときは、その日に終わらなかった仕事の心配事や、将来のこと、上手く行かなかったことなどを、グルグル考え始めます。いつの間にか飲み込まれてしまっているので、今不安感に駆られているなと自分で気づくのに、しばらく時間を要します。皆さんにはそんな経験はありませんか?
そんな精神状態に陥るときは、必ずといっていいほど、体でこんなことが起こっています。
①低血糖
②血流の滞り
③酸素不足
では一つずつ見ていきましょう。
①血糖値は下がっていないか
低血糖状態も、不安感を引き起こす要因の一つです(2)。
不安な気持ちに駆られた時は、この2点を確認してみましょう。
①食事から何時間も経っていないか
②数時間前に炭水化物の多い食事をしなかったか
何かを食べた後、気分が少し落ち着くという場合であれば、低血糖になっていたことが原因と考えられます。
何時間も食事をしていなかったり、炭水化物の多い食事をした数時間後には、血糖値が下がってきます。血糖値が低い状態は体にとって危険なので、アドレナリン(ノルアドレナリン)が分泌されます。
アドレナリンは、交感神経をオンにさせ、闘争・逃走反応(fight-or-flight mode)を引き起こします。これにより、周囲の危険に敏感になって不安感が出るというわけです。人によっては、低血糖によりイライラしたり怒りっぽくなることもあります。
低血糖による不安感の対策
以下のような対策を試してみましょう。食べないでいる時間を短くしてみる他、血糖値を乱高下させない食生活へと改善していくことも大切です。
・おやつを持ち歩く(高たんぱく・高脂質・低糖質なもの)
・砂糖の多く含まれるものを控える
・炭水化物だけの食事をしない
・血糖値の上昇が緩やかなたんぱく質を毎食食べる
②血流は滞っていないか
血流の滞りも、脳に血液が巡らなくなり、不安感の原因になります。
研究によると、座りがちでいること(sedentary)は、不安感、うつ、自殺率の増加と強い相関性があることが分かっています(3)。
以下の2点を確認してみましょう。
①ずっと座ったまま、立ったままなど同じ姿勢でいなかったか
②手は冷たくないか
血流の滞りによる不安感の対策
・ストレッチや軽い体操をする
・1時間以上座っていないようにする
・温かい飲み物を飲む
・お風呂に入る
③呼吸が浅くなっていないか
私たちはストレスを感じている時、交感神経が優位になり、呼吸が浅く・速くなります(4)。これも不安感の原因になります。また、不安感の症状自体が呼吸を浅くさせることもあり(5)、まさに鶏か卵かのような関係なんです。
イライラしている時や、急いでいる時は当然、深呼吸はしていないですよね。呼吸が短く、浅くなっているはずです。
こんな時、脳に巡る酸素が少なくなっています。
また、浅い呼吸は肺を広げる必要もないので、姿勢も悪くなり、血流が滞ります。②のポイントにつながっていくというわけです。
呼吸が浅いことによる不安感の対策
・深呼吸を10回する
・呼吸に意識を向ける
呼吸というのは不思議なもので、無意識的にも意識的にもできるものです。今、深呼吸という文字をみて、深く息を吸い込んでみませんでしたか?
意識を向けるだけで、呼吸の仕方も変わってくるのです。
不安感や心配事があるときの5分瞑想
不安感は性格だけの問題じゃない。対策できる
不安感というのは鼻水と同じ「症状」と捉える事ができます。
改善の第一歩となるのが、「私、今不安感が出ているな」と気づくことです。
「私、今鼻水が出ているな」と気づくのと同じことです。
不安が押し寄せたら、「あ、低血糖ね。何か食べよう。」「動こう」「呼吸しよう」とちょっとした行動に移せるだけでも、大きく違ってきます。
心配事に飲み込まれないように自分のことを観察して、症状に気づくクセをつけてみましょう!