※本記事はハイローラージャパンのウェブサイトにて書かせていただいたコラムの転載になります。
自重力トレーニングの中でも最近注目を集めているのが、「高強度インターバルトレーニング(HIIT:High Intensity Interval Training)」。ジャンプスクワットやバーピーなど、強度の高い動きを数十秒間おこない、短い休憩を挟んで、何セットも繰り返すというものです。
HIITの中でもタバタ式トレーニングは、海外のアスリートやセレブの間で人気が高いメソッドです。20秒間強度の高い動きをした後、10秒間の休憩を挟み、それを6~8セット繰り返します。3~4分で終わるトレーニングなので忙しい時にも取り入れやすい上、すごいメリットがあるとして、海外のフィットネス界では知らない人はいないほどです。
タバタと名前の付くだけあって、このトレーニングは実は日本発祥。元々はスピードスケートの日本ナショナルチームのヘッドコーチであった入澤幸一さんが考案したトレーニングです。それを、立命館大学の田畑泉教授がその有効性について論文で発表したところ、「TABATA」という名前で世界に知れ渡るようになったのです。日本人の名前がついているのに、海外での方が知名度が高いなんて、面白いですよね。
タバタ式トレーニングのメリットとは
タバタ式トレーニングの注目すべきところは、短時間のトレーニングで有酸素性と無酸素性の運動能力の両方を鍛えられるという点です。タバタでは強度の高い動きに伴い、体は有酸素性のエネルギー供給の限界に近いところまで追い込まれ、無酸素性エネルギー供給システムへのシフトが起こります。このため、心機能を大幅に向上することができるのです。タバタトレーニングは、持久力系のアスリートにも、筋力系のアスリートにも、メリットがあるといえます。田畑泉教授は、著書の中で「考えられる限りの最高の合理的トレーニング方法である」と述べています。
タバタ式トレーニングのメリットは運動中だけに留まりません。運動後も約24時間、カロリーを消費し続けることができます。これはEPOC(Excess Post-Exercise Oxygen Consumption) 、日本語では運動後過剰酸素消費量という概念で、強度の高い運動の後で、身体は元の状態に戻るために普段よりも多く酸素を消費します。この状態が運動後も約24時間続くといわれています。つまり、運動後のカロリー消費量も増えるのです。
それ以外にも、低・中程度の有酸素運動をすると増えるというGLUT4というたんぱく質も、タバタトレーニングで高めることができます。GLUT4は、糖尿病の予防や治療にも鍵となっています。
最近の研究では、タバタトレーニングを含むHIITをすると、エンドルフィンという神経伝達物質も分泌されることが分かってきました。エンドルフィンは気分を高め、痛みを鎮静してくれます。長時間走っているとランナーズハイの状態に入り、体は疲れていることを忘れてしまいます。タバタでは、何十分も走らなくてもその状態にたった3~4分で入れるのです。
タバタトレーニングの効果的なメニュー
そろそろ動きたくなってきましたか?今日から始められるタバタトレーニングのメニューをご紹介します。
メニュー①
バーピー20秒+休憩10秒
スクワットジャンプ20秒+休憩10秒
×4セット
バーピー
まずはまっすぐ立ち、真上にジャンプします。着地すると同時に脚を曲げ、手を床につきます。手をついたまま素早く脚を後ろにジャンプし、プランクポーズに移行します。また足を手の位置までジャンプして戻り、立ち上がり、真上にジャンプ、を繰り返します。
スクワットジャンプ
脚は腰幅に開き、真上にジャンプします。着地と同時にハーフスクワットのポジションになり、またすぐに真上にジャンプ、を繰り返します。足とつま先は同じ方向を向くように気を付けましょう。
メニュー②
ケトルベルスイング20秒+休憩10秒
×8セット
ケトルベルスイング
脚を腰幅に開き、真ん中にケトルベルを置きます。ケトルベルを持ち上げ、立ち上がると同時に前方に振ります。この時に腰を前に突き出すようにします。その後、ケトルベルが落ちてくると同時に、脚を曲げ、ハーフスクワットの状態になります。またケトルベルを前に振り上げ、同じことを繰り返します。
田畑泉教授によると、1ラウンドやったら立ち直れないくらいの強度でやるのがおすすめとのこと。ケトルベルの重さはご自身のレベルによって調整しましょう。
※動画では12kgを使っています。
ウォームアップとクールダウンをしっかりと
タバタトレーニングは強度の高いトレーニングなので、ウォームアップとクールダウンをしっかりと行うことが重要です。手首足首を回したり、屈伸運動、股関節回し、ハムストリングスとアキレス腱の軽いストレッチなどを行って体を温めてから行いましょう。
また、心臓が弱い方や、妊娠中の方、出産間もない方にはおすすめできません。
トレーニング後は大腿四頭筋やハムストリングス、大殿筋などのストレッチをお忘れなく。ハイローラーを使ってほぐすのもおすすめです!
▼筋膜リリースについて詳しくは
<参考文献>
American Council On Exercise. High-intensity Interval Training: Why it Works
田畑泉. 究極の科学的肉体改造メソッド タバタ式トレーニング
Science Daily. HIIT Releases Endorphins in the Brain