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最近観た映画の感想:あまくない砂糖の話

映画「あまくない砂糖の話」を観てきた感想

あまくない砂糖の話」というオーストラリアのドキュメンタリー映画(豪題:That sugar film)が今東京で公開中とのことで、気になったので観に行ってきました。オーストラリアでは2014年に公開になっている映画なので、なぜ今更日本で公開という感じですが、砂糖の安全性を問う非常に興味深い映画なので、ぜひ沢山の人に見てもらいたいです。

「あまくない砂糖の話」あらすじ

内容としては、監督・主演のデイモン・ガモーが、オーストラリア人の平均摂取量であるティースプーン40杯分の砂糖を、60日間毎日摂取するというものです。砂糖ティースプーン1杯分は約4グラムとされていますので、オーストラリア人は毎日160グラムもの砂糖を摂取しているということです。ただし、この映画で強調されているのは、いわゆる白砂糖ではなく、一般的に健康的と思われているような低脂肪ヨーグルトやグラノーラ、ジュースなどにも大量の砂糖が含まれているという点です。デイモンは、ジャンクフードやチョコレート、ケーキなどのいかにも不健康なものは抜きに、毎日ティースプーン40杯分の糖類を摂取していきます。

健康意識の高い彼女の影響で、3年前から砂糖抜きの生活をしていた健康体のデイモン。実験を続けるうちに、体型と顔色が明らかに変わっていくのが生々しかったです。また、体調だけではなく気分の上がり下がりが激しくなる、食べても食べても満足感が得られなくなる、砂糖を渇望するようになる、といった精神的な変化も取り上げられていました。これはこちらのブログでも書いたような、砂糖の中毒性や血糖値の急上昇・急降下が関係しています。

実験の経過だけではなく、色々な地域の砂糖にまつわる社会問題にもクローズアップされていて、興味深かったです。例えば、アボリジニ(原住民)のアマタという町。つい50年ほど前までは、彼らの食事は基本自給自足で、砂糖は使われていませんでした。なのに、白人の食文化の影響で町にはスーパーができ、砂糖を大量に使った製品が並ぶようになり、肥満や糖尿病、肝硬変、心臓病など、過去には無縁だった病気が蔓延するようになっていました。また、赤ちゃんの頃から哺乳瓶でマウンテンデュー(アメリカの清涼飲料)を大量に飲まされるアメリカのとある町の話。色々と考えさせられるものがありました。

ドキュメンタリーにありがちな、ただ専門家のレビューを延々と流すのではなく、お菓子のパッケージに専門家の顔が現れて語りだすなど、グラフィックも可愛く、飽きさせない工夫がされていました。

摂取カロリーよりも摂取したものの「質」が鍵

このドキュメンタリーで注目すべき点は、実験前とは摂取カロリーは変わらないのに、デイモンは2か月で8.5キロも太ってしまったということです。2004年に公開された「スーパーサイズミー」という映画では、30日間マクドナルドを食べ続けるという実験がされました。主人公は1ヶ月で14キロも太り、体脂肪率が14%もアップし、コレステロール値が危険領域に達するなど、衝撃的な内容がセンセーションを巻き起こしました。しかし、この映画では主人公は毎日5000キロカロリーも摂取していたのです。どんな健康的な食べ物であろうと、毎日それだけのカロリーを摂取したら体を壊すだろうという批判の声も上がりました。

一方で「あまくない砂糖の話では」、摂取カロリーは変えませんでした。むしろ、実験前より摂取カロリーが低い日もあったそうです。主人公の普段の主なカロリー摂取源は、アボガドやナッツ類などの高脂肪食品や、肉や卵などの高たんぱく食品。そのカロリー源を糖類にシフトさせただけで、こんなに太ってしまい、さらに精神的にも影響が出てきてしまう。私も脱砂糖した個人的な経験から、共感できるところがありました。

ドキュメンタリー映画なので、もちろん感傷的に描かれている部分もあるし、砂糖の影響は個人差があると思いますが、人々に砂糖について議論をしてもらうことを目的としているんじゃないでしょうか。

この映画はただの脅し的なメッセージではなく、次のアクションにつなげることができるように、食品に含まれている砂糖の量を計算するアプリを出していたり、学校給食を変えるような支援活動、脱砂糖レシピなどを、公開後2年たった今でも本国のオフィシャルウェブサイトで公開し続けています。

隠れた砂糖の存在に警笛

日本の栄養成分表示では、食品に砂糖の量を記入することは義務付けられておらず、「炭水化物」として食物繊維などと一緒に表記されています。アメリカでは砂糖の表記が義務付けられているので、必ずみるようにしていました。ある時、なんの甘さもないプレーンヨーグルト1食分に10gもの砂糖が含まれていることを知り、驚愕しました。
WHOの定める一日の砂糖摂取量の目安は25gとされています。醤油やソース、惣菜や煮物などにも砂糖が含まれているので、特段甘いものを食べなくても25gなんて優に超してしまいます。砂糖を控える生活をするようになって、いかにこの国でも砂糖を摂らないことが難しいか、思い知らされます。

メキシコや欧米のある地域では、既に「砂糖税」を導入したところがあるそうですね。今、世界中が砂糖の健康への影響について問い直しています。日本でもたばこやアルコールのように、砂糖をつかった製品に税金がかけられる日はそう遠くないのかもしれません。

2016年8月13日追記
DVDが9月24日に発売されます。

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